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雨上がり
「ありがとうございました」
服を着替え終えたリンは、玄関で姫野先生にお礼とお辞儀をする。
「気をつけて帰るのよ。傘は好きなの選んでね」
「はい。えーとどれにしようかな……」
リンが傘を選んで玄関を開けると、雨は上がっていた。
「ありゃ。まあこういうときもあるか」
「前向きね。リンちゃんは」
リンが首を傾げると、リュックからパルキオが肯定するように顔を出し、すぐ引っ込む。
「そういえばポーちゃんも失敗とかしてました?」
「ええ。失敗して学んで。それの繰り返しよ」
傘を貸したかったのか、困った顔をしていた姫野先生は微笑みを浮かべてリンに答える。
「たとえばどんな?」
「内緒。ポーリャちゃんもポーリャちゃんで苦労してるからね」
「気になる……ポーちゃんはなにをどう聞いてるのかな?」




