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水とお湯
「……お風呂お借りしました」
髪をふきながら浴室から出てくるリン。
「お茶入れたよ。飲む?」
言われるままにテーブルに向かい、リンは椅子に腰を下ろす。
椅子の上にあるクッションがリンをやさしく包む。
「……はい。先生ってマンション住まいだったんですね」
「ええ。一人気ままに暮らしているわ」
「家族の人は?」
「お仕事が忙しくて年に数回会えれば良い方かな」
「そうですか……服ありがとうございます」
洗濯機が回る音を聞きながらリンはたどたどしい口調でお礼を言う。
「魔法でサイズ合わせておいたからね」
魔法と聞いてリンの動きがピタリと止まる。
濡れたリュックからパルキオが心配そうに出てきて、姫野先生はお茶を入れる。
「先生、魔法ってなんなんですか?どうすればもっと上手く魔法を使えますか?」
リンは重たい口を開き、姫野先生に問いかけた。




