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雨
ポツ、ポツと雨が降る。
雨足は次第に強くなり、公園のあちこちに水たまりができていく。
その水たまりを踏みつけ、水しぶきをあげて走っている人もいた。
リンは雨の中、うつむいたまま立ち尽くす。
まるで空がリンの代わりに泣いているように雨は降る。
「風邪、ひいちゃうよ」
スッと傘が差し出され、リンを雨から守る。
「姫野先生……」
リンは顔を上げ、今にも泣きそうな声を絞り出す。
「うちにおいで。ね?」
「……はい」
姫野先生とともに車に向かうリン。
雨が傘に当たる音を聞きながら、リンは姫野先生と一緒に歩く。
表情は曇らせたままで。




