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大人になる魔法
あくる日の休日、リンは一人公園に向かう。
雨が降りそうと思えるほど空は雲に覆われていた。
「えーと、魔法を使うときは隠れてだから……」
人がまばらなところを探し、バッグから杖を取り出す。
「魔法で大人になってみんなと同じスタートラインに立つんだ」
リュックからパルキオが顔をのぞかせる。
「パルキオはそこで見ててね。今回は一人でやってみたいの」
リンの言葉にパルキオは首をかしげる。
「ほら大人ってなんでも一人でできるでしょ」
納得したのか、パルキオはリュックの中に戻り、リンを見守る。
「行くよ。音色よ音色、音の色――」
魔法を唱え終えたリンは自分の姿を見る。
ぐるぐると全身を。コンパクトを出して顔を見る。
「唱える前と一緒……失敗しちゃった?」




