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踏切前
踏切の音がリンの耳に届く。
鳴り響く定期的な音のおかげか、リンは我に返る。
「リンちゃんポーリャちゃん。お腹すいてる?昼の残りがまだあるよ?」
「いただきます……卵かあ」
複雑な顔で卵焼きを見つめるリン。
「どうしたの?卵苦手?」
「え?えーとそういうわけじゃあ……」
「魔女たま」
ぐぬっと顔を崩しポーリャの顔を見つめるリン。
その二人の様子を電車が眺め、通り過ぎて行った。
「わかりやすいと思うよ。魔女たまから魔女ひな、それで見習いとか」
「そりゃそうですけど……」
「見習いを目指して毎日を大切にしてね」
「本当なら今日は魔法の練習をしたかったです……ところでどこに行くんです?」
「病院よ。入院してる一つ上の子が魔女をやめるって連絡があってね」
音が鳴りやみ遮断機が上がり、車は出発する。




