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見習い以前ひな未満
「まあ努力は認めようか」
「ホント?ならすぐに春が来るの?」
なんとか妥協点を見つけ出し季節を戻そうと決めた冬将軍にリンは即座に問う。
「春はまだまだ先じゃ。それだけのことをしたのだと自覚せい。この魔女たまが」
「魔女たまってなによ魔女たまって」
「見習い以前のひな未満。卵も同然ならこれで十分じゃ」
にんまりと笑い、冬将軍は満足そうに髭に手を当てる。
「ぐぬぬ……名前といい魔女たまといい好き勝手に言いたい放題……」
一方でリンはおかんむりな様子で冬将軍を見つめる。
「いいわ!次会うときは私の実力見せつけてやるんだから!」
「ほっほっほ。楽しみにしておるぞ。また秋の終わりにな」
冬将軍がそう言うと、周囲の景色ががらりと変わった。
「あれ?ここは学校?」
「おかえり。どうだった?」
声に振り向くと、杖を持ったポーリャがリンに話しかけてきた。




