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季節を変えたい
「音色よ音色、音の色――」
リンは杖をふるって魔法を使う。
頭の中にイメージした音が奏でられ、手にした杖もリコーダーに変化する。
「えーと確か……」
リンは思い出す。音楽の教科書を。
そこにあった春の楽譜を。
(これが今できる私の全力)
自分に言い聞かせるように、リンは春の旋律を奏で始める。
「うーむ」
冬将軍はあごひげに手を当てて音楽を聴く。
「発想や展開はよし、じゃな」
冬を終わらせたい気持ちは同じと言わんばかりに頷く冬将軍。
「ただ肝心の魔法や技術力が――」
冬将軍が注意深くリンが創り出した音を探ると、見つかる気配二つ。
「春の季節とクマ、か……ふむ」




