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自己紹介をしたはずが
「ちょっと!会話って向かい合ってするものでしょ!顔見せてよ!」
暗闇の中にリンの大声が響き渡る。
「うん?………………なるほど」
冬将軍は少し驚いた声を出し、少し間をおいてからパチンと指を鳴らす。
すると周囲が明るくなり、リンの目の前に鎧を着た髭の生えた人が立っていた。
「これで良いか?魔法を覚えたばかりの娘さんよ」
「リンって呼んでよ!もしくは清白!あと見習い中!」
「見習い以前の問題じゃろう」
「どういうことよ!」
「見習いであれば、儂の姿がちゃんと見えておるはずじゃ」
叫ぶリンの額になにか柔らかいものが当たる。
落ち着け、と言っているのだろうか、パルキオが肉球でぺちぺちと叩く。
「見習い以前、鶏で言うなら雛どころか卵じゃな」
「ぐぬぬ……」
パルキオになだめられつつ、リンは冬将軍の言葉に耐え続ける。




