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朝霧
「今の清白さんになら一度だけ任せてもよさそうですわね」
和んだリンの顔を見て朝霧が自分の考えを述べる。
「本当に!?良いの?私がやっても」
「ええ。何事もまずはやらせてみることからと師匠から教わっていますから」
「師匠かあ。私たちにとって姫野先生みたいな人だよね。どんな人だったの?」
好奇心旺盛なのか自分が任されて嬉しいのか喜ぶリン。
「それはおいおい話して差し上げますわ」
「二人戻ってくるよ」
それかけた話題を戻す朝霧とポーリャ。
「なら急いで――」
「慌ててやるのは事故の元ですわ。まずは基本を忠実にやってみてください」
やる気をそがれリンは口をとがらせかける。
(朝霧ちゃんへの感情は後回し後回し。今はちゃんとやるんだ。私が)
リンは再度深呼吸して気を取り直すと、杖を構えた。
朝霧に言われたように基本を思い出し、それを忠実に再現しようと試みる。
「パルキオ。力を貸してね」




