100/313
お邪魔します
「着いたよ。あがって」
車が家に着くと、ポーリャが案内を始める。
「こんばんは。ようこそ。我が家に」
「おばあちゃん大げさ」
玄関で出迎えた祖母にポーリャが淡々と返す。
「あらあら。連絡があった時はうれしそうだったのにねえ」
楽しそうに話す祖母にポーリャはどんな顔をしているのか。
後ろにいるリンは少し気になった。
「春とはいえ夜は冷えるからね。大丈夫かい?」
「ありがとうございます。大丈夫ですし、お邪魔しますね」
ポーリャの祖父の気配りに感謝しつつ、リンは家の中へと入っていく。
「そういえばポーちゃんのお父さんとお母さんは元気?」
「まだ国で静養中。母は付き添い」
振り向いていつもと同じく淡々と答えるポーリャに安心するリン。
ポーリャはまた前を向くと二階への階段を上り、リンを部屋に案内する。




