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夕日に染まる空を飛ぶ
「すごーい!町が一望できるよ先生!」
姫野先生の肩に乗った手のひらサイズのリンが叫ぶ。
お腹が鳴った理由をリンが話すと、姫野先生は家まで送ると言ってくれた。
「せっかくだし、魔法で送ろうか?」
姫野先生の言葉にリンが元気よく返事をしたら、姫野先生は魔法を唱える。
リンの体の大きさが手のひらほどになると、肩に乗せて光で箒を作り出す。
そして今、リンは姫野先生と町の上空にいる。
「姿を消す魔法もかけてあるから、安心してね」
「魔法ってすごいですね。便利でなんでもできそうな気がします」
「そうね。たいていのことはできちゃうかな。公園の高台あたりで降りるよ」
茜色に染まる空で、リンと姫野先生は二人だけの時間を過ごす。
「姿を現したときに人がいると、びっくりしちゃうからね」
「そっか。ありがとうございます、先生」
お礼を言うリンに姫野先生は微笑みを返し、公園の高台へゆっくりと降りていく。




