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1-2 異世界は残酷に牙を剥き、国王は高らかに笑う

「『ステータス』」


 十時 宗次 lv1 男


 職業:死神


 HP:100/100

 MP300/300


 Str:153

 Vit:55

 Dex:135

 Int:137

 Mnd:65

 Agi:155


 SP:0


 スキル

 大鎌術lv1


 固有スキル

 死神lv1



 ギフト

 時間操作lv1



 さて、さっき流してみたせいでじっくり見れていなかったスキル群に物騒なものが紛れ込んでいるような気がするが、気のせいだろうか?

 なんだよ 死神って! 俺死ぬとかと一番遠い位置にいると思ってたんだけど......


 そんなことを言ったところで無駄なことは分かっているのでステータスの考察をする。


 高いステータスはどうやら力と素早さ、でいいのかな。それなら死神って感じからして暗殺とか斥候とかそういうことをするのが向いているの......かな。あくまでステータス上だけど。

 この大鎌術とか完全に武器に向いてないそれを死神っぽいからってつけたような感じが満載だ。これにこだわらなくても良いだろう。


 と、ここで国王が閉じていた口を開いた。


「この中で『勇者』を持つ者はいるか?」


 勇者。大抵の物語で魔王に対する特攻武器のような扱いでよく語られる勇者だろう。

 それこそテンプレになぞらえると男子委員長くらいがなっていそうなものだが......


「俺が勇者です」


「あ、俺もだ」


 ――――――どうやら二人いたようだ。




 男子委員長が先、そして後に言ったのは......いつも声が大きい印象の赤髪の男子。心の中ではその珍しい赤髪に初期に腕を持って行かれる人の名前を付けていた。まぁその名前で呼べるはずもないが。


「おお、なんと今回は勇者が二人いるのか! これは心強い、ぜひ我々に力を貸してくれ!」


 そう、国王は大きな声を出しながら二人に歩み寄っていく。


「あぁ、分かったぜ! 俺たちが元の世界に帰るついでに、この世界も救ってやらぁ!」


「条件があります」


 前者が赤髪、後者が男子委員長だ。


「はて、条件とは?」


「まず、全員の生命と衣食住の保証。それは約束してもらえますね」


「あぁ......そうだな、約束しよう」


 少し口ごもったが、国王はその条件に納得した様子だった。


「そして戦闘を強制しないこと。大丈夫ですか」


「あぁ。構わない。それだけここで意思を確認してくれれば、こちらも対応しよう」


 こちらはどうやら即答らしい。

 これでしばらくは大丈夫そうだ。


「それでは、少し待っていろ」


 と言うと、国王はそのまま退室してしまった。

 これまでさんざん勇者だのなんだのとまくし立てていた割には、冷えた一言だった。


 壁の向こうで大きな笑い声が聞こえた。ゲラゲラと、品のない笑い方が。


「これで大丈夫。さぁ、これからのことを考えよう」


 そう、男子委員長はクラスメイトに伝える。


「これからって、何を考えるんだ」


 不機嫌なのを隠そうともしない赤髪。きっとさっき安直に決めたように見えてしまうからいら立っているのだろう。


「条件にもつけただろう、戦闘を強制しないって。今からそれを聞こうと思う」


 そう赤髪に伝えると、続けてクラスメイト全員に向けて言葉を発する。


「戦闘を、したくない人」


 そう聞いた。

 手を挙げる者は、いなかった。


「そうか、それならいいんだ。この条件は保険だったから」


 そう言ったところで、大きな音を立てて扉が開かれた。

 そこからずらずらと列をなして甲冑が歩いてくる。戦闘には長身の男が。

 まずい、と思った時にはもう遅かった。

 その甲冑――――おそらく騎士が、俺たち全員を大きく囲んで――――――


 後ろのほうで見ていた一番豪華な鎧を着た人が盾を打ち鳴らした。


 その瞬間、騎士が一斉に距離を詰めてくる。


「きゃあ! どこ触ってるのよ!」


「何をしようっていうんだ!」


 声を荒げるクラスメイト。

 俺ははっ、と勇者の二人を見たが、どうやらもう手遅れのようだ。


「クソ、どういうことだ!」


「何をする!」


 二人もあっけなく騎士にもまれるようにして姿を消した。

 そして、抵抗しなかった俺もまた――――――

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