2-2 襲撃観測
「さて、俺のやることは、っと......」
俺のやることはなんだ。
撤退するか、それとも接敵するか。
敵魔物への指示が王城内の人類殲滅なら、王城から撤退すれば全く攻撃を食らわないため敵は後に到着する四天王二人を最高戦力で迎撃する。
しかしそうでない場合。もし、内部の人類ではなく、異世界人と王に連なる――――と、詳細に条件を決められた場合は、王城の外に出るのは街への被害をむやみに出すだけだから得策ではない、ともいえる。
それに比べ迎撃。俺は一度限りはノータイムで復活することがわかっている。ので、頑張れば一度死んだタイミングで撤退すれば、援軍が来るまでの時間を稼げる。
問題は果たしてそれが俺に出来るのか、ということと、時間が足りるのか。
失敗すれば俺が連れ去られるだけだ。
――――そうだな、一回やってみるか?
好奇心がうずいてきたが、それを精神で無理やり押さえつける。
そんな無駄な好奇心に、有限のスキル回数を使用するわけにはいかない。
「よし、逃げるか」
安牌を取るか。なんて言ったら麻雀してるのがバレる。というか、ここで使うあたりそこまで上手くないことがバレる。
が、決してそれは口に出さない。自分から馬鹿を晒す事はしないからだ。
なんて少し余裕が謎に出てきたところで、前から足音が聞こえてきた。
「あぁ、折原さん。どうしたの?」
「なんか、先生が用事があるからって、王都の探検することになったの! だから、その......」
少し走ったからか、赤くなった顔をそっぽに向けながら、ぽそりと言った。
「私と、一緒に行きませんか......って」
なるほど、お誘いか。
「それならぜひ」
とりあえず、断ればリンチ、受け入れてもリンチの積み状況なのは理解した。
どちらにしろ口実ができるからな。
というか、俺が王城から外に出て、果たしてそれで終わるのか、という疑問ももちろんあるが......まぁ、それはその時考える。もう考えたくない。
「や、やった! それならいこ、今すぐ行こ!」
なんか稀に見るテンションだな......と思ったのもつかの間、折原さんの奥に人影が写る。
「あ......いや、何でもないです」
折原さんに向け、ペコペコしてそのまま去っていく男たち。
すぐ帰っていくもんだから、何事だと思ったら、折原さんがこっちを向いたタイミングで振り返って、恨み殺さんとばかりの視線を飛ばしてきた。こやつも、折原親衛隊か。こうなると俺の死亡が確定する。
死亡とか簡単にできるようになるなんて、流石異世界、なんて思ったが、その思考を捨ててすぐに移動する。
「それじゃ折原さん、いこっか」
「......うん!」
襲撃が来ないうちに、とは言わなかった。
門を抜ける。まだ襲撃は起こってない。
それはスパイが急遽連絡して、王城にいないからほかを当たっているのか、それとも単純にタイミングとしてまだなのか。
門を抜けた先で少し観察してみる。
いつ来るか、と空を見回してみたが、姿はない。
空を見ても――――と思った。が、思いだす。
一度目の周回、思い出すのは二人に連れ去られた時――――移動手段は、何だったか。
「飛行か」
「? どうしたの?」
「いや、何でもないよ」
声が出ていたようだ。でも、声を出したからか、少しだけ脳内の整理がついた気がする。
あいつらが、軍勢はどうか知らないけど少なくとも二人が空を飛んでいたから、空をよく見ないと。
じっと、じぃっと見てみると、何かが動いたように見えた。
「折原さん、急ごう!」
「え、うん、わかった!」
俺は無理やり手首をつかんで、王城から離れる判断をした。




