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第1章 第3部

 ──閉じたブラインドから夕方の光が差し込んでいる。

 時間は既に僕が帰ってきてから2時間近く経とうとしていた。

 僕が学校を終えて家に着いたのは16時位で、今は18時だ。

 今日は日没が、少し遅い。


『私の名前はスズメ。』

『君の名前は?』


 どうやらそれは、いわゆるチャットというもののようだった。

 僕はチャットなんてする相手が居ないのだが、LINEという存在くらいは知っている。友達は0人だけれどスマホにはちゃんと入っている。


 でも、LINEとは全く違うものだった。

 本質的に、違うのだ。

 具体的に、「それ」について説明するのは難しい。とにかく、文字の表れ方が独特なのだ。敢えて言うなら、柔らかい印象と、厳しい印象を同時に与えるUIだった。フォントも独特で、見ていると平衡感覚がぐちゃぐちゃになるような印象を受けるものだった。

 僕は、幻のような、その二文を見てもう考えるのをやめた。

 僕の理解の範疇は既に超えている。

 この……スズメ? とか言う、なんだか分からない人に僕の運命を預けてみるのも面白いかもしれないと思った。


 ちなみに、僕にはこの特殊なUIは表現出来ないから、チャットの内容は二重カギカッコを使う事にする。

 自分の中で記号を自分の知っている記号に置き換えなければ、気持ち悪くなってしまうほどにその表示は独特だった、という事だ。


 思考を放棄するにせよ、僕は彼女に何か言わなきゃいけないというのはわかっている。

 この、見ようによっては矢印のようなこのマークが送信ボタンだとすれば、この一見不自然な空白は文字の入力部分という事になるのだろうか?


 僕は彼女の、僕の名前を問う質問は無視し、彼女の方へ質問を投げかける。

「僕のMacは、一体どうしちゃったんですか?」

『ハッキング』

「え?」

『したわ。』

 改行下手かよ。


『私の友達に、そういうのが得意な人がいてね。君のMacは初期化して、君専用にカスタマイズした私達の世界のOSに交換したわ。』

 話についていけない。

 1個も。

 まず、僕のMacは初期化された、だって? ってことは、パソコンの中に保管してあった僕の色んなファイルは戻ってこないのか?

 そんな……! 僕の大事なゲームのデータを返してくれ!

 ……Googleドライブにバックアップしてあれば、復元できるのかな……?

 ……このパソコンじゃ、Googleドライブにもアクセスできないじゃないか……


 ──いや。

 そうじゃないだろう。

 『私たちの世界』ってなんだ?

 僕の世界だって、スズメの世界だって、同じ世界のはずなのに。

 スズメの世界は、僕の住んでいる世界とは交わらないような暴力的な世界だ、とか、そういう意味だろうか? それとも財力の世界とか、政治力の世界とか、……いや、これだって架空の世界だ……

 世界は1つの、はずなのに。


『ふふっ』

『窓を開けてご覧』

 僕は従順に従った。

 もしかしたら窓の外に刺客が……みたいなことは考えなかった。彼女(たぶん女性だろうと勝手に決めた)に従っておけば、間違いないのではないかと思ったのだ。

 ブラインドをあげる。

 紐を巻きとる。


 窓の外は──


 それは、正に「有り得ない」光景だった。

 この世界にあってはならないはずの不気味な人型の動物。

 見た事の無い街並み。


 そこにあったのは──それはまるで。

 マンガやライトノベルの中にしか無いはずの。

 「異世界」だった。

1部と2部の更新間隔が遅くなってしまったお詫びに、3部は頑張りました。


次の更新は日曜日の予定です。

よろしくお願いします。m(_ _)m

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