表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/10

第1章 第2部

 僕のMacが、輝いている。


 しかし、それは既に僕のMacでは無い別の何かになってしまっていた。


 Windowsのようでも、マッキントッシュのようでもない人間が作ったように見えない、UI。

 そこに一切の文字は排除され、記号と、絵と、写真とによってディスプレイは輝いていた。

 本当にそれはまるで見たこともないような斬新なものだった。斬新というより、僕の世界観にはあるべきでないような。新しいというよりは、別の時間軸で作られたような──


 僕はそれを呆けたように、あるいは本当に呆けてしまったのかもしれない──食い入るように、それをただ見つめるばかりだった。


 ──と、ディスプレイに動くものがあった。

 どうやら何か着信らしきものがあったらしい。しばらくぼーっと眺めていたが、突然正気に返ってそれを確認する。


 真ん中だけが日本語だった。

 ディスプレイ上の、このウィンドウだけが。

 一切の文字を排除したこのディスプレイ上で、そのウィンドウは違和感だった。

 僕のよく見慣れた日本語なのに、──このMacに本来書いてあるべき日本語がただ書いてあるだけなのに、それはまるでそこにあるべきでは無い物のように、思えた。


 ともかく、このまるで新しいナニカになってしまったこの「パソコン」が、そう変わってから初めて文字を表示していたのだった。

 そのパソコンの表示には違和感を感じながらも、僕の常識が通用する日本語に安心していたのも事実だ。


 こんな意味の分からない状況の中で、安心してしまえる自分にも呆れるけれど。

 

 着信の内容はこうだった。

 これが、僕のパソコン上の唯一無二の日本語なのだった──


『私の名前はスズメ。』

『君の名前は?』


 誰だよ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ