第十八回:メイク男子
最近美容室にお伺いしたところ、iPadが各椅子に置いてあり、そこで雑誌が読み放題、というなんとも素晴らしいシステムが出来上がっておりました。『dマガジン』というアプリだそうです。回し者ではないです。モリが歳不相応に『FINEBOYS』などを熟読していましたところ、スタイリストさんに「メイク男子ってどう思う?」という『十日論』にぴったりなお題を頂きました。その場では、「似合うならばいいんじゃないでしょうか」と無難に答えました。
そもそもお化粧というのは、元々ある顔のパーツを強調したり、柔らかくしたり、調整を行うためのものだと思っています。たとえばモリのように目が小さければ大きくしようとしたり、鼻が低ければ高く見せようとしたり、という具合です。ですので、メイクを行う権限は女子のみにあるものではないと思います。実際、韓国アイドルの皆様は濃い目のお化粧をするのが最近の流行りのようです。それも、元々切れ長の目をもっと強調したりだとか、顎のラインをきれいに見せたりだとか、そういうためにやっているようです。その美意識は素晴らしいものではないでしょうか。ちなみにモリはまったくメイクをしません。
また、ビジュアル系バンドというジャンルの男子メイクもありますね。こちらはまったく明るくないのですが、彼らの目的は中性的に見えること、であることな気がします。メイクを用いて目を大きくし、鼻を高くして女性と男性の間くらいの見た目を得ようという思いを感じます。彼らの場合髪型もとても重要視されているような気がしますが、モリにとっては髪型をきちんとするのもメイクをするのもさして変わらないのではないかと思います。外見を整えようと思っている、という意味では同じです。なのになぜ男子がメイクをすると『気持ち悪い』みたいな感想になってしまうのでしょうか。正直な話、モリは髪のスタイリングに一時間かけている男子の方が恐ろしいと思います。
ただ、韓国系アイドルにしろビジュアル系バンドにしろ、共通するのは『魅せるためのメイク』です。芸能人の方々も撮影や舞台などでは多少なりともお化粧をなさります。というわけで、彼らの『メイク』はテンポラリーなものです。その場その場で良く見えれば良いのです。その点、日常的にメイクをなさる方々は、男性女性を問わず理想の自分を追い求めているような印象を受けます。「ずっとこうでありたい」という姿をメイクによって獲得しようとします。そういう場合、モリはちょっと心配になります。すっぴんが嫌だから隠す、という種のメイクは少し悲しいなと思います。だからといって人類万人美人なのだからときれいごとを言うわけではありません。単純に、精神的にメイクをしている自分としていない自分の落差に困ったりしないのかなと思うのです。モリであれば多分確実に落ち込みます。
というわけで、少し話が逸れましたが、これは人権の問題です。メイクの権利は女性のみにあるものではありませんし、男性がするからといってむやみやたらに非難されるべきものではないと思います。とはいえ、男性にしろ女性にしろ、メイクに限らずどんな話題にしろ、依存しないのがよろしいですね、という結局無難な結論になります。
本日は以上です。ご清聴ありがとうございました。