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─序章─
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私にはわかります。
これは夢なのです。
終わりなき、夢だったのです。
あの人が迎えに来てくれるはずだったのに、それなのに。
…本当は、その時この夢も終わるはずだったのです。
でも、あの人は来てくれなかった。
ああ、どうしてなのでしょう。
私を嫌いになってしまったのかしら?
あの人が来てくれないと、ここから出られないのに─
ああ、でも困りました。
ここから出られないのは、大変困ります。
お茶をする所もありませんし、本もありません。
ましてや乙女の必需品、姿見すらないじゃありませんか。
そんな所でどうやって過ごせというのでしょう?
ここにあるのは真っ赤な花畑だけだというのに…
私、ここで死ぬのかしら。
…私、なんでこんな所にいたのでしたっけ……
最後に、絵本でも読みたかった…です……