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横断歩道  作者: ムラノ
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鏡の中

通勤で通るこの道は、自分にとって少し特別である。

人は一人か二人たまに居るだけで車もあまり通らない。

しかし、毎回出会う人は居る。

気付いたのはこの道を使うようになって1年が過ぎた頃だった。



私は会社に向かうため朝早くに家を出てこの道を歩いていた。


(朝はさすがに寒いな。コート着てきたら良かった。)


4月上旬の朝は少し肌寒く、鳥肌を立てながら早足で進む。

吐く息は白く何か特別な感じがした。


歩き始めて5分程したところで短めの横断歩道が見えてくる。

そこは道幅が狭く車も人通りも少ないため必要性はあまり感じられない。

さらに、真っ直ぐな一本道であるにも関わらず横断歩道に向かってカーブミラーが立っているのである。


(なんでこっち向きなんだろ…しかも一本道だしそんな意味無いよな。)


そう思いながら毎日見ていた。

しかし、その日は何かが違っていた。

冷たい空気、白い息、淡い青空

何かがいつもと違っていた。

それは未だに分からないが、何かが違っていたのだ。


そしてそんな違いを感じたせいか、使わなくても良いはずのその横断歩道を私は初めて渡ろうとした。


その時ふとカーブミラーが目に止まった。


そこには寒そうなサラリーマンと暑そうな女の子が立っていた。

女の子はまだ小さく小学低学年ほどだった。

黄色のワンピース姿に赤いリボンがついた麦わら帽子を被っていた。


(ここは一本道。正面から誰かが歩いてきていた様子は無かった。なら、後ろから?いつから?)

そう考えながらゆっくりと隣を見る。


しかし隣には誰も居なかった。辺りを見回しても私しか居ない。

見間違いかと思い再度カーブミラーを見るがやはり女の子は立っていた。

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