最南村~祭壇洞窟。祭壇へ~
――――――その頃キリア達...
「やっぱり女神がいる場所は霊力が豊富だねぇ」
ヒロが言う。
「だから...アイネの花がこんなに大きく育ってるんだろ。」
相変わらずの無表情で、そっけなく返すキリア。
花はヒロの炎を受け、紫色に見える。
「彼、どうなったかなぁ。ここら一体の生物。霊力の影響か大きい個体が多いみたいだし...」
「祭壇洞窟までは僕とヒロは覗いてないから分からないけど...中に魔獣や生命体がいたらあるいは。」
「いちを神聖な場所だぜ?魔獣は無いだろ」
「どうだかな。まぁ、確かに魔獣は無いか。経験値欲しがってたから何かしらいればと思ったが...ん?」
話していると小さく軽い地響きが聞こえてくる。
「花はもういい。」
キリアは嫌な予感に花を挟んで正面だったヒロの後ろへ回る
すると向こうにある祭壇洞窟の入り口から腰の高さまである蜘蛛の集団がわさわさと溢れ出してくる!
「ヒ、ヒロ!崖下に向かったのは無視して残りは焼き払え!」
「姫はクールなふりして虫が苦手なんですから。仕方ないなぁ」
「姫って呼ぶな!あと、苦手なんじゃなくて嫌いなんだ!!」
向かってくる敵はまとまって崖下組とこちらの開けた場所へと別れてきた。
「早くヒロ!」
「やるにしてももう少し近づかないとまとめて俺の能力で消せねーぞ。」
なんて会話している間に開けた空間まで来たのだが
『開けた空間だぁ!』
と、言わんばかりに横にも広がりだした。
「ちっ!こっちから近づくべきだったか」
「だから早くって!」
「ちょいと本気出しちゃいますかぁ? 『フェニッ...』」
ヒロが技を繰り出す瞬間時が止まったかのように蜘蛛の集団はピタリと動かなくなった
不自然な格好のやつまでいる
その瞬間晴れてた綺麗な空は闇に包まれ始める。
「この感じ...村の方面」
「姫...」
ヒロはキリアではなく他の誰かを呼ぶように呟く。
「チィッ...」
そんなとき一匹のコウモリが洞窟方面から飛んで来てキリアの肩に止まる。
「ヤガミ...僕にはお前しか...お願いだ、あの蜘蛛どもを消してくれ...」
「キキィ。」
ヤガミと呼ばれたコウモリはまた洞窟方面へと向かい
洞窟から開けた場所へいる蜘蛛達を一瞬で凍らせバキンっと砕け散らせた
「不幸中の幸い。日差しが遮られてヤガミも動きやすかろうな...」
ヒロは聞いていない。
軽く腰にパンチする。
「ほんと、あいつしか頭に無いのかね。いっつも僕のことを『姫』『姫』って呼んでくるくせに...」
「そんなことよりもバルは...? あいついつになったら戻って...」
―――――――――――――――ほんの少し前。バル。
「......っん...」
しまった!
気を失っていた?
時間は?! どれくらい眠っていただろうか。
気がついたら祭壇への入り口の扉の前で横になっていた。
服の下のお守りが淡く光っている。
「聖域か...」
急がねば。さっきからエッダの顔が頭から離れない。
巫女の試練でなにもなきゃいいが...
よし! 開けよう。
扉に手をかけ押す。
力を込める。
が、開かない
「ふんぬぅぅぅ!!! なんで開かねぇ!」
一生懸命力を入れて押すがピクリともしない。
あ、そうか! もしかしたら魔獣やら何か入ってこようとしようとした時に押戸だと簡単に入られちゃうから、ここは引くのか...?
軽く引くとビックリするほど軽く開いた
バカか自分は。
開けるとまばゆい光に包まれる
眩しかったが中に入る。すると後ろで扉が閉まる。
目が少し慣れてきた...
祭壇の上に俺の真の武器が...ある、はず。
まだ眩しいがそれらしきものは見当たらない。
「ん? 人形か?」
祭壇の目の前まで来ると小さな、まるで妖精かのように小さな女の子が眠っていた。
光の殆どの元はこの子から発せられているように感じる。
「い、生きてんのか...?」
思わずそっと手を伸ばす。
触れる瞬間バチッ! っと大きく弾かれる。
「え?!」
すると空間内の光が少女に集まり、少女は目を開け体を起こす。
「おはようございます。わたくしの主様!」
「え? え? 」
主? 俺の武器...まさか!?
「わたくしがあなたの武器となりましょう」
にこりと少女は笑う
「...え、えええええええええ?!」
ゲームだとどの扉も両開きだったり
自動で開いたり、手をかざすだけで開いたり
色々ありますよね。
押してもダメなら引いてみてそれでもダメならスライドじゃー!
次回は小さな少女の名前やら村の様子に触れたいと思います。