五月分
五月分です。予約投稿はここまで。
『裁かれればいい』
目の前の論争はまだ終わりそうにない
誰が悪いかだけ話し合っている
責任を負うのが嫌だから人に押し付けて
平気な顔で人を叩いて、抑えて
子供の頃の「ごめんね」「いいよ」を
忘れてしまった大人たち
何もしない僕も含めて、みんな裁かれればいい。喧嘩両成敗と言うしね……
『晴れの日、曇天』
仲良しな二人を見て、周りの皆も笑って
この場の天気は大方快晴
青い、青い空が広がっているのに
小さな雲ひとつ、僕に影を落とした
今更気が付いたって遅すぎるって
分かってる、分かっているから
僕の天気はモヤモヤの曇天
ハレの日には心の空は晴れるかな
なんて誰にも聞こえない独り言
『分岐点』
未来の事を考える
何をしながら生きて
何を楽しみに生きて
笑って、泣いて、描いて、生きて
僕の目標は何?
僕のしたい事は何?
どのように生きるのか
決めないといけない分岐点
『人生創作』
物書きの僕は主人公に目標を設定する
彼はどこに向かうのか、どのように生きるのか、何をしたいのか
そんなことを簡単に考えるのに
僕が主人公の僕の人生という創作は
上手く行かない、主人公の目標さえ決まらない、どんなふうに生きれば良いの?
そんな事を思いながら、自分を設計した日
『青に埋もれて』
視界に広がる青と青と青と青
空と海と僕以外に何も無い空間で
雲すらもない透き通った青
ああ、僕はこの世界で青に染まって
この世界の一つになるのだろうか
青と青と青と青と僕と青と青
自分の個が分からなくなる一面の青
『意味のない僕探し』
何かにならないといけない
そんな考えで頭が埋め尽くされて
何にもなれない僕は踏み出すこともできないまま
怖い、厳しいなんて言い訳をし続けた
結局、僕次第だから
何になっても僕は僕なのだから
何にならなくても僕であろう
意味の無い僕を謳歌してみよう
いつか、僕が見つかるさ
『自分を大切にできない英雄』
苦しみの中だろうが、なくなってしまおうが、どうだっていいんだよ
こんな犠牲で世界が救えるなら
こんな失敗作の僕が誰かを救えるなら
世界に比べれば僕なんてどうだっていいんだ、そうだろ
苦しみの中に僕がいても
僕の四肢がなくなってしまおうが
世界が救えるならどうだっていい
『飛ぶ鳥と止まり木』
君は空を自由に飛ぶ鳥のようだ
飛べない僕では君の隣に居られない
でも、そんな君も飛び続ける事は出来ないから、きっと何処かにとまるだろう
そんな君の為の止まり木になりたい
そのために、しっかり大地に足をつけて
疲れた君の癒やしになれるよう
戻ってくる場所を守りたい
『博愛彼女の嫉妬心』
君の少し幼い顔になる笑い顔が好き
君の真剣な引き締まった顔も好き
君の真面目に少しずれた提案をする天然な所だって好き
でも、君のその優しさは少し嫌い
人を嫌いになる事が初めてで、どうすればいいか分からないけど
とにかく、みんなに優しい君が好きで、嫌いなんだよ
『寄り添う』
「どうしたの?」
「分からない……」
苦しそうに泣いている君のこと、どうにかしたい
「じゃあ、ゆっくりでいいよ。まとまってなくても良い、全部聞かせて」
「ごめんなさい、ごめんなさい……」
大丈夫だから、どこにも行かない。だから聞かせておくれ
その涙が枯れるまでここに居るから
『英雄にならない道』
「お前は英雄になれ!」
「嫌だ、断る」
僕は平凡を望んでいるだけだ
「死んだように、生きるというのか?」
「そう思うなら、どうぞ」
勝手にしろ。僕は僕の思うように生きる
たとえ、それが褒められた事でなくても
僕が僕としてあるなら
それはそれでアリだろう
『涙目で並び立つ』
強敵に挑みにゆく戦友たち
その後ろで震えている僕
死んでしまうのが怖い
苦しむ事になるのが怖い
失敗して足手まといになるのが怖い
怖い、怖い、怖い……それでも!
誰かが欠けてしまう方が怖いから!
涙目で前を向いてその背中を追いかけた
僕だって戦うよ。今までゴメン
『変えられなかった魔王』
目の前で勇者が剣を振り上げる
「トドメよ、魔王」
「見事だ、勇者よ」
抗って抗って、こうならないようにしたけど、結局魔王は勇者に討ち取られる
目の前の最愛の幼馴染が立派な勇者になって、悪役は俺で……
「どこで、間違ったんだろうな」
「きっと、最初からよ」
そうか、ちくしょう
『生存申請』
特技とか特にありません
人から素晴らしいと言われる事も最近はめっきり減りました
むしろ迷惑ばかりかけているような気もします
それでも、生きていて良いですか?
この生に、幸せを感じても良いですか?
平凡な僕という一人を愛して、抱きしめて、なんて願っても良いですか?
『人形になった僕』
漠然とした重りが双肩にのしかかって
期待という名の重さで動けない僕
どうにか上手く行くようにと
自分の感情を押し込んで人になった
でも、歪んだ人形なんて誰も見なくて
そうか、ただの自意識過剰だったのか
そのことに気がついた頃には
僕は人に慣れすぎて、僕を見失ってしまった
『とある神様の独り言』
人は弱い。簡単に折れ曲がる
人は弱い。案外すぐ歪む
人は弱い。ふとした事で捻れる
でも
人は強い。真っ直ぐになろうとする
人は強い。砕けることはそう無い
人は強い。ふとした事で笑える
だから、見ていて飽きないな
『Luna Dance』
虚無を詰め込んだかのようなバイト帰り
月明かりの下の空き地で踊る妖精を見た
穏やかに、緩やかに、楽しげに
踊る妖精がやけに寂しそうだった
その手の先に誰も居ないからかな
月明かりが照らす中に自然と足が向いた
「踊りましょうか? 僕で良ければ」
「見つけてくれて、ありがとう」
『ばれている嘘まみれな世界』
世界は嘘にまみれている
みんな本心を隠して薄っぺらい嘘で覆って生きているのだから、それは当たり前だ
人はドロドロとした感情で出来ている。嘲笑に罪悪感、劣等感、憎悪、恋慕、悲壮、狂気、愉悦のようなむき出しの感情
出したままでは生きられないから、人は嘘で隠す。バレバレなのに
『君がいない世界では生きられないから』
「お前っ、何で戻ってきたんだよ!」
僕を逃がしてくれた友人がそう叫ぶ
そうだよね、何で戻ってきたんだろ
僕が居ても居なくても、戦局は変わらない
それに、死んでしまうかもしれない。
怖い、怖い。だけど――
「君が死ぬかもしれないとき、何もしなかったクズになりたくないだけだよ」
『繕う人生』
能力は無い、これといった特技も無い
人間として必要なパーツが欠けている
そんな僕だけれど、生き続ける
自分を嘘で隠しながら
ただ辛いだけと分かっているが
死ぬ事はできない
世間が、社会が、家族が、柵が
僕に死ぬ事をゆるさない
だから今日も僕は死にたい今を
取り繕って生きている
『触れ合い、傷付け合い』
触れ合うということは傷付け合う事だ
僕は傷付くのも傷付けるのも嫌だから
誰とも話さず一人でいるんだ
なのに、君は
「傷付いても良いよ。その代わり、君と話がしたい」なんて
バカじゃないか?
なんで、僕は傷付いていないのか
なんで、傷付けてもこりないのか
君が僕には分からない
『車に乗りたくない』
人間は便利を捨てられない生き物だ
たとえ、それが人の手に余るものでも
ルールで縛れば問題ないと思っている
それが、何度も人を殺そうとも
自分には関係ないとたかをくくっている
僕は自分の限界が分かってるから
部屋から出ないよ
『幼馴染の命の盾』
勇者と魔王は同士討ち。
そんな伝説を否定する様に私の前で魔王は消えた。目の前では死を押し固めた暗黒が一人分残っている
あれをくらえば私も死んでいただろう
死に立ち向かった彼が勇者だったのだろう。あの一瞬だけは、確かに
私は幼馴染の誇り高き命の盾を忘れない
忘れてはいけない
『スッキリした世界』
その日から世界は変わった
空も大地も人も建物も色を得て
向かい風は追い風になった
ああ、今なら何でも出来そうだ
僕が僕にようやくなれたのだと
そんなふうに思う
そっか、世界じゃない
僕が変わったんだ!
自分の抱いていた気持ちにやっとケリをつけたんだ
……さよなら
『許可待ち』
少し疲れたので休んでも良いですか?
歩くのを一度止めて、景色を眺めても良いですか?
冷たい空気を思いっきり吸って、吐いて肺に酸素を取り込んで良いですか?
それが駄目ならせめて、ここで泣いても良いですか?
許可がないと何も出来ない僕に、いいよ、と優しく言って欲しいのです
『闇の中で希望は光る』
深く深く深い、先も見通せない闇の中で、ボンヤリと光る君がいた。奥底へそれを目印に進んでいく。
「世界は案外、優しい」と教えてくれた君の元へ。今度は僕の番だ!
君が閉じこもると言うならば、君がやったようにこじ開けてやる!
だから、たどり着くまで光を、希望を、失わないでいて
『生存申請』と『許可待ち』は雰囲気似てますが、関連はないです。ですが、元々両方とも抱きしめてと言ってたので片方変えました。自分は誰かに抱きしめられたかったのだろうか?
『博愛彼女』はつながってます。四月分にあったはず。忘れてても大丈夫ですが……