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四月分

四月分です

『嘘つきだった幽霊は世界も欺いた』


昨日の君の声が脳に焼き付いている

「ごめんね、もういかなきゃ」

嘘ばっかり言う君の、いつもの嘘

そう分かっていたのに

「今日だけ、世界に嘘をついたんだ」

止めて、真実は時に残酷なんだよ

「また、一年後に」

君は世界に溶けといった

「お盆にも戻ってきてよ」

私の文句は空に消えた




『挑戦』


何かに挑むことは常に不安が付きまとう

他の人にとって当たり前でも

その人にとっては大きな一歩だから

何に対しても挑め、挑め、挑め

怖がらないで前へ、前へ、先へ、先へ

自分の内面世界を広げるんだ

拓け、前へ、先へ、挑め、挑め!




『勇者パーティーの最後』


魔法使いは最後に失われた魔術を見つけ、魔王への最後の詰めとなった

戦士は最後に勇者と手合わせして初めて一太刀当てることができた

勇者は最期に戦争の理由を無くすため死に場所へ向かった

僧侶は最後に初めて勇者が傷つく前に癒やす事ができた




『神様はいなかった』


周りには神様ばかりだと思っていた

なんでも出来る神様に囲まれた僕は

どう足掻いてもただの人で、凡庸で

何をするにしても失敗ばかりだった

でも、違ったんだ

周りも皆、ただの人で

出来ないのは当たり前で

出来るようになった姿が神様のようだっただけだ




『道に広がる秘密基地』


光が指す方へ向かっていく

そこに道が出来ていく

自分の世界を広げていく

何があるのかな?

どんな出会いが待っているの?

さあさ、始めよう

ただの道に僕だけの基地を作ろう

未知を既知に変えていこう




『無欲な宝くじ』


「なあ宝くじで3億当たったらどうする?」

ひょうひょうとしている君は唐突にそんなことを尋ねてきた

「貯金かな……」

したい事も、その機会も無いから

「なんでも出来るのにな」

君は寂しそうに笑いながらそう言った

僕の欲が無いのを見透かされているようだった




『自己否定に花丸は付かない』


ダメダメだってバツバツつけて

自分自身にペケペケ並べて

自分はダメだと自分自身に言い聞かせた

だからダメだと、それがペケだと

バツの理由だと分かっているのに

どうにもこうにも治らない

こんな僕にどうか誰か花丸をつけてよ




『変われないごめんなさい』


『ごめんなさい、すみません、申し訳ありません』こんな言葉ばかり、ああ嫌だ

そんなふうに君は言う。なら、どんな言葉が良いのかな

君が『ありがとう、助かった、サンキュ』を求めてた事に気付いたのは数年後の事だ

ごめんね、気付けなくて

そう簡単に変われなくて




『割れた花瓶』


いろんな人が水をくれた

ある人は優しく、ある人は厳しく

またある人は慈しむように

たくさんの水を注がれたのに

僕は今でも空っぽで芽生えることも無い

ごめんね、僕には種が無いんだ

ごめんね、僕は底に割れ目があるんだ

未完成で不良品な僕でごめんね




『博愛彼女の芽生え』


澄んだ空が好き

キラキラ輝く海が好き

爽やかに吹き抜ける風が好き

友達みんな大大大好き

もちろん明るくて元気な君のことも好き

でもなぜだろう、君への好きは少し特別な気がするんだ……


博愛の彼女の彼への愛情が恋情に変わりその事に彼女が気付くまで、あとすこし




『隔離一人』


今日は日差しが強い。きっと暑いのだろう。そんな中でも草木がユラユラ揺れている。きっと爽やかな風が吹いているのだろう。楽しげな少年少女が通って行く。きっとワイワイ話しているのだろう。


そんな景色を僕はガラスの向こうからベッドの上で一人、見ていた。それだけだった。


寂しい




『人形の中で人間は朽ちる』


めまぐるしく変わる世界にうんざりして

私は変わらない物を求めました

刻むことの無い時計に

枯れることのない花束

そこでずっと微笑み続ける人々に囲まれ

幸せでした


ある時、気付いたのです

私が、変わり続けている事に

この変わらない偽物の中で、私だけが人間でした




『大バカ者二人』


何も出来ずに立ち竦む僕に君が笑った

「お前はバカなんだから難しく考えるな」

そう言って前に出て飛んでいった君に

「お前には言われたくない!」

そう叫んで後を追うように飛び立った

恐怖も失敗に対する恐れも何も無かった

無くなっていた




『なんてことないはずの痛み』


他の人はもっと大変だから

あの人はもっと頑張っているから

この人はとても凄くしっかりしてるから


なんて、人と比べて自分を追い込んで

誰にも知られない心に傷を作って

それを無視して死にかけている


誰も知らない、僕の心の傷

誰も薬を塗ってはくれない

当たり前だ




『泡沫パーティー』


今日はおかしなパーティーデイ

眉間の皺を伸ばして、口角を上げて

みんな、皆で遊び巡ろうぜ!

今だけは、今日だけは

昨日の後悔や絶望も

明日への憂鬱や不安も

全部、全部が靄の中さ!

さあさ、みんなで、遊ぼうぜ

おかしくおかしな日を楽しもうぜ

この一時だけは、笑顔でさ




『変わりたい気持ち、追いつかない心』


君の隣に居てもう十年位になるのかな

最近、君が少しずつ近づいて来てて

私はどうすればいいのか、分からなくなってるよ


私の中にたしかに存在する

もっと、もっとを望む強欲な私と

まって、まってと戸惑う臆病な私が

ぐちゃぐちゃになってるんだ

もっともっと、でもまってまって




『心なしで歩いていく』


日々を暮らしていく内に心という燃料は溶けていき、世界を歩いて行く内に、傷ついて心はささくれていく


ボロボロになっても、心が無くなっても、人は無理に歩かないといけないんだ


なんとかなっているのではなく

なんとかしないと生きていけないのだ

だから心の無い言葉が溢れるのだ




『喪失ティータイム』


ほろ苦いマシュマロに甘いコーヒーを添えて、本日午後のティータイム

しょっぱいクリームのたっぷり使ったショートケーキも出しましょう

つい癖で、二人分準備してしまう私に馬鹿だなぁなんて独り言

喪失感で味も分からないそんな昼下がり




『喪失ティータイム』って曲のタイトルにありそうで個人的にナイス名付けだと思っております。

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