依頼主
「それで、ギル・マスさん
私らが特別クエストを受けるか、受け無いかは、
依頼の内容を確認してから決めるとして、
その、特別クエストを依頼したいっていう金持ちは、
何処の何方さん何だい?」
パーティーを代表してポラリが尋ねる
「ああ、依頼主は、
俺の兄で、この街の代表を務めている『タメゴロ』だ」
「へ~、兄弟で街の代表と、
冒険者ギルドのマスターをしてるなんて凄いねぇ」
「私とライ兄ィ程では無い」
「ああ、あの街長さんって、
ギル・マスさんの兄貴だったのか・・・」
「街の代表さんなら、確かにお金持ちそうですね」
「そこで、依頼の内容の方なんだが、
兄が直接、お主らと話をして、為人を確認してから、
お願いをしたいとの事なんで、
これから俺と一緒に、兄の屋敷まで言って貰えるか?」
「ああ、何と言っても、
費用が高額になるのが当たり前の、特別クエストの依頼だからね、
信用が置けそうな冒険者に、
依頼を出したいっていう気持ちは良く分かるよ、
私らの、今日の予定で決まってるのは、
今んとこ、この依頼の話を聞く事ぐらいだから御一緒するよ」
「そうか、感謝する」
ギル・マスと一緒に、ギル・マスが手配した馬車に乗り込んで、
街の代表を務めているという、
ギル・マスの兄の屋敷へと向かったコインら一行は、
15分程、馬車に揺られてから、
街の一番奥に位置する、大きな屋敷の前で停車した馬車から降りた。
「ここが、兄の屋敷だ」
「へ~、流石にファー達の毛皮で、
かなり潤っている街の、代表の屋敷だけあって立派なもんだね」
「なかなかのセンス」
「おお~!街長さん家を見るのは初めてだけど、
流石に、凄っげぇデカさだな!」
「僕ん家の自宅と、同じ位大きな家って初めて見ました・・・」
「「いらっしゃいませ、トンチキー様」」
屋敷の入り口にある門の前で、警備に当たっていた私兵らしき男らが、
馬車から降りたギル・マスを目に留めて、挨拶をする
「おう!ご苦労だなビアンゴ、ナポリタン、
兄貴に頼まれてた冒険者たちを案内して来たんで、
そう、伝えて貰えるか?
兄貴には、前もって使いの者を出してあるから、
そう言って貰えば通じる筈だ」
「はい、主のタメゴロ様から伺って居ります。
皆様が、こちらに御着き次第、
御案内をする様に、申し使って居りますので、
こちらへと、お出で下さいませ」
ビアンゴが門の鍵を開けてから先導をして、
ギル・マスら一行を、屋敷の敷地内へと招き入れる
「ああ、分かった。
それじゃ皆、兄貴の所に向かうぞ」
「ああ、お邪魔するよ」
「お邪魔」
「失礼しゃ~っす!」
「お邪魔しま~す。」
門から続く、長いアプローチをビアンゴの先導で進むと、
洋風の、3階建てで横に長い、
赤いレンガ造りの建物が、コインらの目にハッキリと見えて来た。
「へ~、大きな屋敷ってのは、大概は石造りの建物が多いってのに、
ここは、赤レンガ造りなんだね」
「なかなかの趣」
「何か洒落た感じっすね」
「なんか、小樽とか横浜を思い出すな・・・」
「皆様、こちらのドアから、
屋敷の中へと、お進み下さいませ」
一行を先導して屋敷へと導いたビアンゴが、
建物の中央辺りに位置する、大きな両開きのドアを開けると、
一行に、そのまま屋敷内へ入る様にと促した。
「うむ、邪魔するぞ」
「皆、行くよ」
「了解」
「分かりました。」
「いよいよ、依頼主さんとの御対面ですね」




