伝説の棒
翌朝となり、ポラリの『朝一は冒険者で混み合っているから、
少し時間をずらして行った方が良い』との意見に従って、
少し遅めの朝食をとってから、コインら一行は、
昨夜の受付嬢との約束通りに冒険者ギルドへと訪れた。
「あの~、僕達『殲滅の乙女団』なんですが・・・」
先頭に立って、冒険者ギルドの入り口を開けたコインが、
既に、朝の冒険者たちのクエスト受付ラッシュを終えて、
やや弛緩した雰囲気を漂わせながら、
カウンターに座って居た数人の受付嬢に向かって、そう告げる
「ああ、皆様、お見えになられましたね、
夜勤の者から申しつかり、お待ち申し上げて居りました。
ギルド・マスター室へと御案内致しますので、
こちらへと、お出で下さいませ。」
昨夜の受付嬢からの申し送りが、ちゃんと出来ていた様で、
受付嬢の一人がカウンターから立ち上がって、そう告げた。
案内の受付嬢に付いて、
コインら一行がギルドの建物奥へと足を運ぶと、
一つのドアの前で足を止めた受付嬢が、
コンコン!とドアをノックしてから中に声を掛ける
「マスター、『殲滅の乙女団』の皆様がお見えになりました。」
すると、それに呼応して部屋の中から、
「おう!入って貰ってくれや!」との、
やや、しわがれた野太い声の返事が、即座に返されて来た。
「では皆様、こちらへどうぞ」
返事を聞いた受付嬢は、ドアを開けると、
コインらを部屋の中へと招き入れる
「邪魔するよ」
「お邪魔」
「失礼しゃ~す!」
「お邪魔します。」
「おう!良く来てくれたな、
俺が、この冒険者ギルド『ガンセキの街』支部の、
ギルド・マスターを務める『トンチキー』だ!宜しくな」
コインらが挨拶の言葉を発しながら部屋の中へと踏み込むと、
種族がドワーフと見られる、
低身長でガッチリとした体格をしたヒゲ面の人物が、
大きな声で自己紹介をしながら近づいて来た。
(おお~、多分ギル・マスさんはドワーフなんだろうな、
初めて見たけど、何か想像していた通りの風体をしてるな・・・
うん?何か背中に、見た事ある様な形の棒を背負ってるけど、
ありゃ一体、何なんだろ・・・)
ポラリらに続いて、ギル・マス室へと入ったコインの目には、
まず、身長が150センチ程のドワーフと見られる人物が映り、
次いで、その背に背負われた2メートルは超えると見られる、
どこかで見た様な形をした棒が留まった。
「ああ、私はポラリだよ宜しく」
「パサラ」
「オレは、サナエっす。」
「僕は、コインと申します。
宜しくお願いします。」
皆、一様にギル・マスの背中の棒が気になってはいたものの、
一応は無難に名前を告げるに留まる
「おう!皆、覚えたから名前で呼ばせて貰うぜ!
俺の事はギル・マスか、トンチキーで呼んでくれや!
そんじゃ、早速だが話をするから、
あそこのソファに皆で腰を下ろしてくれるか?」
「ああ、それは良いんだがなギル・マスさん、
ちょっと、その前に一つ聞かせて貰っても良いかい?」
「おう!別に構わんぞ!
何でも聞いてくれや!」
「そんじゃ聞かせて貰うが、あんたの背中に背負ってる、
そりゃ一体全体、何なんだい?」
皆の気持ちを代表して、ポラリが尋ねる
「ほぉ・・・流石はA級冒険者なだけはあるな、
俺の背中のコレに気付くとは・・・
これは、先日、この街を訪れた凄腕の行商人から、
500万ギルという破格のサービス価格で、
特別に譲って貰った『聖剣セナカカキバー』だ!」
「その、棒っ切れが聖剣だって・・・?」
「オーラが無い」
「おおっ!聖剣っすかカッケ~!」
「『聖剣セナカカキバー』?
セナカカキバー・・・背中掻き棒・・・そうか!
どっかで見た事ある形だなぁって思ってたら、
巨大な『マゴの手』の形だったんだ!」




