行き成りな商談
「それでは、ファーちゃんの従魔登録を致しますので、
先程、コイン様がされた様に、
ファーちゃんの手をオーブに乗せて頂けますか」
受付嬢が、先程と同じ様に登録のオーブに、
コインのギルドカードを差し込むと、そう告げた。
「ファーの手をオーブに乗せれば良いんですね?
ファー、今から僕と従魔登録を結ぶんで、
さっき僕がやってたみたいに、このオーブに手を乗せてくれるかな?」
冒険者ギルドの受付嬢より指示を受けたコインが、
ファーに伺いを立てる
『キュキュ~!』
ファーは、コインに返事を返すと、
コインの首から離れて、スルスルとコインの腕を伝い、
オーブの上に両手を乗せた。
「ありがとうねファーちゃん、ホントお利口さんね~
じゃあ、オーブを起動すると、ちょっと光るから驚かないでね~
・・・はい、登録出来たと思うから、もう手を放しても大丈夫よ~」
「ファー、もうオーブから手を放しても大丈夫だってさ」
『キュキュ~!』
ファーは返事を返すと、再びコインの首へとスルスルと舞い戻った。
「じゃあ、カードの御確認をしますね・・・えっ!?
ファーちゃんって『ウルトラ・ジャイアント・ミンク』なんですか!?」
「そうなんですか?サナエさん」
「ああ、ウチの村長は『イタチ、イタチ』言ってたけど、
ファー達の正式な種族名は、そうらしいぜ、
前に親父と一緒に毛皮を納めた
商業ギルドの伝票にも、そう書いてあったからな」
「だそうです。」
「すると、ファーちゃんは、ブラック村から来たんですね?」
「ええ、ブラック村のディック村長さんから譲って貰ったんですよ」
「そう致しますと、ファーちゃんが脱皮した際の毛皮の方は・・・?」
「一応、自由にして良いとは言われています。」
「コイン様!是が非にでもの御願いがあるのですが!
ファーちゃんが脱皮した際には、
その毛皮を冒険者ギルドへと、お売り頂けませんでしょうか?
ファーちゃん達の毛皮は、高級素材として大変人気が高いので、
当、冒険者ギルドへも多数の引き合いがあるのですが、
その市場は、殆ど商業ギルドに独占されているんですよ」
「ファーの毛皮をですか?
僕は別に良いと思うんですけど、
その辺って、どうなんでしょう?ポラリさん」
「ああ、私も別に構わないとは思うんだけど、
折角なんだから、最初はウチらの防寒服を作ってみないか?
巨大化したファーは、そこそこには大きいから、
2回分位を使えば、皆の分が揃えられるだろう」
「高級ミンク・・・確かに、高貴な私には相応しい」
「おおっ!まさかオレが、
ファーの毛皮を纏える日が来るとは思わなかったぜ」
「なる程、それは良い考えですね、
ファーも、それで良いかな?」
『キュキュ~!』
「ありがとうな、ファー、
と言う訳で、3回目の脱皮からで良ければ、
冒険者ギルドの方へ納められますけど、
それでも良いでしょうか?」
「はい!是非お願い致します!」
「分かりました。
その際には、お納めする様にしますね」