英語は赤点
「取り敢えず、村に向かう前にステータスの確認だけはして置きたいよな、
でも、いくら何でも、この場所は不味いか・・・」
コインは、自分が今立っている深い森をグルリと見渡しながら、
そう呟いた。
「女神ちゃん(小)が、大した強さの魔獣は居ないとか言ってたけど、
一応、魔獣は魔獣なんだし、これだけ深い森ともなると、
魔獣だけじゃなくて肉食の獣とかも居るかも知れないもんな、
よし!ここは得意の木登りで安全を確保する作戦で行くかな」
コインは、そう言うと、腰帯に装着した剣を外して魔導リュックへと仕舞うと、
手近な場所に聳え立っている大木にスルスルと登り始める、
日本に居た頃に住んで居た自宅は広大な庭を有していたので、
そこには多くの樹木が植えられて居り、
子供の頃から庭師の目を盗んでは登っていたので木登りは得意中の得意なのであった。
「ここらまで登れば大丈夫だろう。」
コインは6メートル程の高さまで一気に登り切ると、
頑丈そうで座り易そうな枝を探して、そこに跨った。
「そんじゃ、いよいよステータスの確認をするかな、
『ステータス表示!』これで良いのか?・・・おおっ!何か空中に出て来たぞ」
コインが言葉を唱えると、目の前に半透明の表示板が現われる
「どれどれ、僕のステータスは・・・」
コインの目の前に現れた表示板には、次の様な表示が現われていた。
名前 コイン
年齢 15歳
レベル 15
HP 150
MP 150
スキル 全属性魔法(超々低級)
解体
剣術(New)
体術(New)
状態異常耐性(New)
異世界言語(New)
ユニークスキル マイバンク(New)
コインブースト(New)
称号 小銭王
木登り名人
「後ろに(New)って付いてるのが多分新しく増えたスキルだな・・・って事は、
コイン君が元々持っていたスキルってのは『全属性魔法』と『解体』のスキルか、
『全属性魔法』とか言うと、かなり凄そうな感じがするけど、
後ろに付いてる(超々低級)ってのがネックなんだろうな・・・
ユニークスキルは『マイバンク』と『コインブースト』ってのか、
マイってのは確か自分の事だよな、バンクって何だっけ?
自動車のレースとかで、レース場のコースが斜めに傾いてる部分が、
確かバンクとか言ったよな、自分が傾くって何だ?
くっそ~、こんな事なら英語の授業を、もっと真面目に受けとくんだったな、
次の『コインブースト』のコインってのは多分、僕の事だよな、
そんでもってブーストってのは凄くなる的な事だったっけ?
僕が凄くなる?もしかして、このユニークスキルは下系のスキルなのかな?
まあ、その辺の確認は冒険者ギルドとかで鑑定して貰うしかないか・・・
大体のところは分かったから、後は森を抜けてから魔法の確認でもしてみるかな」
コインは、登った時と同様にスルスルと木から下りると、
魔導リュックから剣を取り出して腰帯へと装着し、
森から村へと続くと言う獣道をテクテクと歩き始めた。