パサラさん、ホント半端ねぇよ!
「まあ、そんな訳で御者台でのコイン達の会話を聞いていた
パサラが腹を立てたって訳だ」
コインらに、パサラの過去を説明していたポラリが、
そう話を締めくくった。
「なる程、分かりました。
例え僕達が、知らなかった事とは言え、
確かに、パサラさんの立場からすれば、
お怒りになられても仕方がありませんね、
ホントに、すいませんでした。」
「オレも、パサラの姉さんの気も知らず、
言いたい放題の事を言って、すいませんでした!」
「どうだい?パサラ、
2人も反省しているみたいだし、
さっきの会話の事は、水に流してやっちゃあ・・・」
「ん、許す。」
「ありがとう御座います。パサラさん」
「あざ~っす!姉さん」
「はい、これ。」
パサラが、コインの方へと、
サナエの名札が付けられたワラ人形を差し出した。
「え?ええ・・・これって、もう呪いは解かれているんですか?」
コインが、ワラ人形を受け取りながら、
パサラに、そう尋ねる
「まだ。
私は掛ける専門だから・・・」
「えっ!?パサラさんじゃ解けないんですか?」
「マジっすか!?姉さん」
「そう。」
「それじゃ、何で僕に手渡したんでしょうか?」
「意外と、察しが悪いなコイン、
多分パサラは、ファーに浄化をして貰えって言いたいんだと思うぞ、
なあ?パサラ」
「そう。」
「ああ!そうか、呪いなんだから、ファーに浄化して貰えば良いのか、
確かに僕の察しが悪かったですね、すいませんポラリさん
そんじゃ、さっそく・・・ファー、ちょっと頼みたい事が出来たんだけど、
起きてくれるかな?」
コインが、自らの首に巻き付いて眠っているファーに、声を掛ける
『キュ?』
コインの呼び掛けで、目を覚ましたファーが、
ヒョイと持ち上げた頭を傾げて、
『何か用』とでも問い掛ける様に、一声鳴いた。
「この、ワラ人形の浄化を頼みたいんだけど・・・パサラさん、
僕の、コイン・ブーストは必要ですかね?」
「大した呪いじゃ無いけど、
一応、使った方が良い」
「そうですか、そんじゃ一番威力が弱い500円玉で良いかな?」
「5エン玉にした方が良い」
「それって結構、強力な呪いですよね!?」
コインは、パサラのアドバイス通りに、
5円玉を使ってコイン・ブーストを掛け、
ファーの浄化に依って、ワラ人形の呪いを解除した。
「何か、ファーが浄化した瞬間、
ワラ人形から出た黒い煙が、ドクロみたいな形に見えませんでした?」
「おお、見えた見えた!
オレなんか『ギャギャギャ・・・』って、
笑い声みたいのが聞こえた気がしたぜ!」
コインの問い掛けに、
自分の名札が貼り付けてあったのも忘れて、
燥いだ様子のサナエが、そう告げた。
「なあパサラ、ありゃ5エン玉でもギリギリだったんじゃ無ぇか?」
「ん、思ったより強かった。」
2人の会話を聞いたコインは、
パサラが気紛れに使った黒魔法の呪いが、
サナエが元々掛かっていた呪い並みに1円玉が必要なクラスだったと聞き、
今後、パサラの機嫌を絶対に損ねない様にしようと、自らの心に誓った。




