旅立ち
出発の準備も整い、村の入り口には、
村長を始めとする村人らが大勢、コイン達の見送りに集まっている
「それじゃ、馬車の準備も整いましたんで、
そろそろ出発しようと思います。
村長さん、そして、ブラック村の皆さん、
本当に色々と、お世話になりました。」
『キュキュ~!』
「ホント色々と世話になったね、
サナエやファーの事は任せな」
「バイ、ナラ」
「親父、お袋、そして村の皆、
ダンジョンで稼いだら、土産を一杯持って帰って来るからな!」
「おう!まあ、お前たちの実力なら大丈夫だとは思うが、
一応は、気を付けて行けよ!」
「皆さん、サナエのヤツを宜しくお願いします。
サナエ!皆さんに迷惑掛けるんじゃねぇぞ!」
「サナエ、皆さんの言う事を良く聞いて、
怪我なんかするんじゃ無いわよ」
「サナエもファーも達者でな!」
「忘れない内に顔を見せに来いよ!」
「首都の土産を楽しみにしてるからな!」
「帰ったらダンジョンの話でも聞かせてくれや!」
皆への挨拶を済ませると、
ポラリとパサラは馬車の中へと入り、
コインと首に巻き付いたファー、
そして、御者を務めるサナエが、御者台へと腰を下ろすと、
手綱を操作して『サクラ』と『バサシ』にゴーのサインを出した。
「それでは、行って参ります!」
『キュキュ~!』
「皆、行って来るぜ!」
「おう!行って来いや!」
「「「「行ってらっしゃ~い!」」」」
街道を、次の街の方向へと進み始め、
村の入り口で、手を振る皆の姿が見えなくなると、
コインが、隣に座り操車をするサナエに話し掛けた。
「ホントに良い村ですね」
「ああ、正直者ばかりで少し心配だけど、
村長を始め、親父や、お袋の事を安心して任せられる人ばかりさ」
「まあ、いざという時にはハヤイ達も居るから大丈夫じゃ無いですか?」
「ああ、ハヤイ達は、そんじょそこらの冒険者より強いうえに、
人の嘘とかも見抜く能力があるから、大事になる事は無いだろうね」
「えっ!?ハヤイ達に、そんな能力があるんですか?」
「ああ、多分、発汗する匂いとか、
心臓の鼓動の速さを、音で聞くとかして分かるんだと思うけど、
ほぼ100パーセントの確率で見抜いてたね、
そんなもんだから、村の大人達が、
自分の子供が嘘を吐いてるんじゃ無いかと思った時には、
村長に頼んで、ハヤイの前に連れて行かれたもんさ・・・」
「へ~、やっぱりサナエさんも連れて行かれたクチですか?」
「ああ、何かイタズラをする毎に連れてかれていたね、
何とか誤魔化そうとして、体を川の水で冷やすとか、
息を止めるとかしてたけど、みんな見抜かれちまったよ」
「イタズラ自体を、止める方向には行かなかったんですね・・・」
「ああ、イタズラは、オレのライフワークだからな、
おいそれと、それを止める訳には行かないさ」
「ブラック村の皆さんの苦労が偲ばれます。」




