話し合い
「そうなんですよ、お客人方、
先日、『闇ネコ』のリーダーさんからも『今は治療に専念して、
復帰は体の調子が戻ってからで良い』って内容の手紙を頂いたのに、
ウチのサナエと来たら、新しい斥候役が見つかったから、
もう戻って来なくても良いって意味だなんて、
抜かしやがるんですよ」
ポラリらの意見を聞いたシロミミが、
そう肯定の言葉を述べると共に、
サナエの態度に対して否定的な意見を述べた。
「だって、あの手紙には、
オレより動きが遅いし、遠見だって利かないシャミーのヤツが、
オレの後釜で斥候役に納まったって書いてあったじゃねぇか、
ありゃ、お前の代わりなんて幾らでも居るから、
もう戻って来なくても良いぞって意味だろが!」
「『闇ネコ』のリーダーさん達も、
こんなに早く、サナエさんの呪いが解けるだなんて、
思ってもみなかったんじゃ無いんですか?
焦ったサナエさんが無理をしない様にって、
後釜が見つかったなんて手紙をくれたのかも知れませんよ?」
「そうだね、実際、魔法学園の連中でも解けなかったんだろ?
その話が『闇ネコ』の連中に伝わっていたとしたら、
サナエが、だいぶ焦ったり、落ち込んでたりするだろうって、
考えるだろうからね」
「実際に、自宅で燻っていた。」
「あ~もう!その話は良いっすよ、姉さん方も、コインも、
シャミーのヤツは、オレ程じゃ無いっすけど、
そこそこの腕前っすし、
オレと同じく、子供の頃から『闇ネコ』のレギュラー入りを、
ずっと夢見てたっすからね、
それよりもオレは、呪いを解いて貰った恩返しをする為に、
皆さん方の役に立つ様、ついて行くって決めたんっす!」
「でも、ホントに良いんですか?
『闇ネコ』に入るのは、サナエさんの子供の頃からの夢だったんでしょ?」
「ああ、親父のシロミミさんの話だと、そういう事だったよな」
「夢は叶えるもの」
「良いんっすよ、直ぐにクビになっちまったのは計算外だったっすけど、
ちゃんと一度は叶ったんっすからね、
今は、それよりも、姉さん方と向かうダンジョンで、
『闇ネコ』の皆でさえ体験した事が無い様な、
凄ぇ出来事が待ってるって予感がビンビンしてるんっす!」
「そうですか・・・サナエさんの気持ちは分かりました。
どうですかね?ポラリさん、パサラさん、
僕としては、サナエさんが『闇ネコ』に対する未練が無いっていうなら、
仲間に加わって貰っても良いかなって思うんですけど・・・」
「そうだな、私らのパーティーは、
どちらかと言えば後衛タイプの魔法職が多いから、
私の他にも、前衛が務められる者が必要だっちゃあ、必要なんだよね、
サナエなら、その点、鍛えれば撹乱役も出来るだろうから、
ウチのニーズには合ってるかも知れないね」
「最強伝説に、また一歩近づく」
「そうですか、じゃあウチのパーティーとしては、
サナエさんを、お迎えしても良いって事でOKですね、
シロミミさんは如何でしょうか?」
「ウ、ウチとすりゃあ、
サナエのヤツが『闇ネコ』に、もう少しも未練が無くて、
皆さん方が、一緒に連れて行っても良いと言って下さるなら、
我が家、最大の不良債権が無くなるんっすから、
文句なんて、ひとっつも御座いませんでさぁ・・・」
「そうですか、では、新たなパーティーの仲間として、
サナエさんに加わって頂くという事で決定ですね」




