解呪の副作用?
「どうだ?サナエ」
体を包んでいた眩しい光が治まったサナエに、
少し心配そうな表情のシロミミが尋ねる
「え~と・・・どれどれ・・・
お~!オレの体が軽くなったぜ親父!
ほら、この通りだぜ!シュッ!シュッ!」
始めは腕をグルグル回したり、
その場でピョンピョンと飛び跳ねてみていたサナエが、
体が思う様に動く事を確認すると、
ボクサーの様なシャドウボクシングをしたり、
その場で、回し蹴りを繰り出し始める
「どうですか?サナエさん、
呪いが解けて、元通りの動きが出来る様になりましたか?」
そんなサナエに、
コインも、そう尋ねる
「おう!元通りも、元通り、
却って、呪いを受けちまった前よりも、体が軽く感じるぐらいだぜ!
それ!この通りさ!」
サナエは、コインに、そう返事を返すと、
軽く膝を曲げた姿勢から、
シュッと、3メートル程上にある集会場の梁へと飛び上がった。
「お~!流石は身体能力が高い、獣人の方だけはありますね、
大した予備動作も無く、あんなに高い梁まで飛びあがれるなんて、
サナエさんが『闇ネコ』の入団テストでトップが取れたのも、
良く分かりますね」
「ホントだね、私の知り合いにも獣人が何人か居るけど、
あれ程の高さに飛べるヤツは記憶に無いね」
「まるで、ニンジャの様だった。」
「いやいや、お客人方、
幾ら、私ら獣人の身体能力が高いからって、
今のアイツのジャンプ力は異常でさぁ、
呪いに掛かる前のアイツでも、あんなに軽く、
あの高さまで飛び上がれる筈が、ごぜぇませんや」
感心するコインに、シロミミが告げる
「えっ?そうなんですか?
それでは、今のサナエさんの調子の良さは何でなのですかね?
呪いの副作用とかだと困るから、
一応は調べて貰った方が良いかも知れませんね・・・
サナエさ~ん!調子が良いのは分かったんで、
ちょっと、そこから下りてきて貰えますか~」
「おう!了解だぜ」
サナエは、梁の上から飛び降りると、
スタッと床の上に着地をする、
膝のクッションを利用して衝撃を吸収したのか、
その着地音は殆どコインの耳には聞こえて来なかった。
「今、シロミミさんから、お聞きしたんですけど、
呪いを受けてしまう前のサナエさんより、
今のサナエさんの方が、身体能力が上がってるっていうのはホントですか?」
「ああ、そうだね、
呪いを受ける前なら、あの高さの梁に上がるなら、
一度、手で、ぶら下がってからじゃ無いと、
上がれなかっただろうね」
「やっぱり、そうなんですか・・・
もしかすると、掛かっていた呪いの副作用が、
何らかの形で働いているのかも知れませんから、
一応、調べて見た方が安心かも知れませんね」
「そうだな、体の限界を超えて動いてるとかじゃ、
後々、何らかの障害が出て来るかも知れないからな」
「筋肉ドカーン」
「あんまり脅かさないで下さいよ、姉さん方、
まあ、コインが、そう言うなら調べてみても良いけどよ、
オレの場合、冒険者ギルドに所属してるから、
ギルドカードでステータスなんかを調べるには、
ギルドのある街まで行かなきゃ、調べられねぇぜ」
「ああ、それだったら大丈夫ですよ、
パサラさんが『鑑定』のスキル持ちですから、
お願いすれば、調べてくれると思います。」
「まあ、パサラが鑑定するだろうが、
コイン、余り人のスキルをベラベラ喋るんじゃ無いぞ」
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