ピコピコ村
「ああ、『闇ネコ』のメンバーの人たちゃ
元々、身体能力の高い獣人の中でも、
特に能力が高い女性のみで構成された精鋭揃いで、
私らも、力や魔法では一歩も引けを取る心算ゃ無いけど、
全体的な総合力や、経験なんかを含めると、
まだまだ及ばないだろうね・・・」
「接敵前に魔法を使えば勝てる」
「へ~、ポラリさん達が、そこまで言うなら、
かなりの精鋭揃いなんでしょうね、
でも、そんな凄いパーティーに加入出来たなんて、
シロミミさんの処の、お嬢さんも凄いんですね」
「ええ、娘は元々視力や聴力に優れたネコ獣人な上に、
スキルで『遠視』や『聞耳』を持ってたんでさぁ、
親の欲目もあるだろうけど、冒険者として成功できると信じてたんですよ」
「へ~、両方とも斥候職には垂涎のスキルじゃないか、
その、両方を兼ね備えた獣人っちゃあ、
確かに、期待するなって方が無理があるね」
「むう、敵ながらアッパレ」
「ええ、本人も周りも、大きな期待を寄せていただけに、
今の状況を認めたくは無ぇんでしょうな」
「お嬢さんは、一体全体どうされたんですか?
もし、宜しかったら、僕らにも聞かせて頂けませんでしょうか?」
「ええ、別段、隠している訳でも御座いませんので大丈夫でさぁ、
先程、そちらの、お客人が仰っていましたが、
『闇ネコ鍋シスターズ』は、『ピコピコ村』っていう名の、
村出身の女性のみで構成されている冒険者パーティーで、
ウチの家族も、その村で暮らしていたんでさぁ、
村の、女の子らは皆、小さな頃から入団を夢見てて、
ウチの娘も御多分に漏れず、物心が付いた頃から訓練に明け暮れていました。」
「女の子たちの憧れの存在なんですね」
「ええ、この国で大規模な魔石の採掘所が見つかったって聞いて、
稼ぎの為に、家族で村を出て来たんですが、
娘が、村を出たくないってゴネて、そりゃ大変でしたね」
「結局、村には帰らなかったんですね」
「ええ、ある程度、まとまった稼ぎが出たんで、
最初は、娘の希望通りにピコピコ村に帰ろうかと思ったんですが、
偶々、帰りの旅路の途中で立ち寄った
この村を、アッシや女房が気に行っちまいまして、
結局、住み着いちまったって訳でさぁ・・・」
「確かに、この村は、良い村ですもんね、
シロミミさん達が、気に入るのも良く分かりますよ・・・
でも、お嬢さんは残念がったでしょうね?」
「ええ、最初の内は、
一人でピコピコ村に帰るって言って聞かねぇんで、
飛び出して行かねぇ様にって、柱に縛り付けて置いたんですが、
時機に諦めたのか、
『成人したら、入団テストを受けに行く事を認めてくれるなら残る』ってんで、
女房共々認めてやったんでさぁ・・・」
「子供の身で、一人で旅して帰るってのには無理がありますもんね」




