だっふんだ!
「ZZZzzz・・・・」
『ZZZzzz・・・・』
ディック村長に、亡くなった母親の部屋へと案内されたコインは、
当初、村長の様にファーと会話が交わせる様になりたいと考え、
色々と試してみてはしたものの、
まだまだ、コミュニケーション不足から無理だと断念して、
歓迎会のお呼びが掛かるまでの暫しの間、
ファーと共に昼寝を楽しんでいた。
『コインよ・・・』
「う、う~ん・・・ZZZzzz・・・」
『キュ、キュ~・・・ZZZzzz・・・』
『目を覚ますのだ!コインよ!』
「う~ん、うん?誰か来たみたいだな、
は~い!今行きますから、ちょっと待って下さいね、
ファー、迎えが来たみたいだから起きてくれるかな?」
『キュ?キュキュ~!』
コインは、ファーを起こすと部屋の扉へと向かい、
ノブを回して開けてみる
「お待たせしました~って、あれ?
誰も居ないみたいだな・・・
僕の名前が呼ばれた様な気がしたんだけど、勘違いだったのかな?」
『勘違いでは無いぞコイン』
「誰だ!」
今度は部屋の中の方から声が聞こえたので、
部屋の中をグルリと見回してみるが、
既に夕日が差し込み始めている、
薄暗い部屋にはコインとファーしか居ないのが確認出来る、
ベットが一つポツリと置かれただけの簡素な部屋には、
人が隠れられる様なスペースが存在しないからだ。
『私を探しても無駄だぞ、
何しろ、私の体は見る事が出来ないからな』
「ま、ま、まさか、幽霊とか言いませんよね?」
『そうです!私が幽霊さんです。』
「変なオジサンみたいに言うな!」
『変なオジサン?』
「い、いえ、こちら側の事なんで気にしないで下さい。
それで、あなたがホントに幽霊だとして、
どなたの幽霊なのでしょうか?」
『誰の幽霊って・・・そこまでの設定はして無かったな・・・』
「設定?」
『い、いや、・・・そうだ!
お前は、私が誰の幽霊だと思うかい?』
「誰のって・・・もしかして、5年前に亡くなられたっていう
村長さんの、お母さんですか?」
『良し!その設定で行こう』
「設定?」
『い、いや、そうです!私が死んだバアさんです。』
「だから、変なオジサンみたいに言うな!って言うか、
ホントに亡くなられたって伺った
お婆さんだとして、何で僕の名前を知ってるんですか?」
『そ、それは、アレだよ・・・そう!
いかにも、お前がコインっぽい顔をしているからさ!』
「どうも何か、おかしいな・・・
実は、僕が知ってる人のイタズラって事は無いですよね?」
『も、勿論だとも!
私は決して、黒魔法でイタズラをしているパサラなどでは無いぞ!』
「そうですか、パサラさんだったんですね」
『な、何故、私がパサラだと気付いた!?』
「いやいや、今、自分で言ってたじゃないですか・・・」




