襟巻コイン
「でも、ホントにファーを僕達の仲間として、
一緒に連れてっちゃっても良いんですか?村長さん
ファーが居なくなったら、
毎回、一千五百万も売り上げが落ちちゃうじゃないですか」
「ガハハハッ!俺は全然構わんぞ、コイン
俺がコイツらと一緒に暮らして居るのは、別に金を儲ける為じゃ無いからな、
ファーがコイン達と行きたいってんだから、その意志を尊重するさ、
俺としちゃあコイツらの毛皮代で、エサ代でも賄えれば御の字ってとこなんだが、
エサ代を払って、尚且つ、村の運営費を負担しても大幅な黒字だからな、
ファーが居なくなったところで、寂しくなるぐらいしか困る事も無いのさ」
「そうなんですか、良かったです村長さんの負担が増えなくって」
「まあ、確かに、あれだけの数が居りゃ年2回だけの脱皮とはいえ、
合計すれば、かなりの金額になるだろうからね、
一千五百万はデカいけど困る程の減額じゃあ無いんだろうね」
「小型の龍を狩れば、そのぐらいは直ぐ稼げる」
「まあ、そう言う事だからよ、
ファーの事は安心して一緒に連れてってくれや」
「はい、分かりました。
ありがとう御座います。村長さん」
「次に再会する時まで、ファーには怪我一つ負わせない事を誓おう」
「私は毎日モフるのを誓う」
「おう!頼んだぜ!
そんじゃファー、お前はコインらと一緒に行ける様に小さくなれや」
『キュキュキュ~!』
村長の言葉に、返事を返したファーの体が仄かな光に包まれると、
その体が1メートル程の長さへと小さくなった。
「おお~っ!ホントに見事なぐらいに小さくなりましたね」
「ああ、この大きさなら普通のイタチとも見分けが付かないね」
「ラブリー感が倍増した。」
『キュッ!』
小さくなったファーは、一鳴きするとコインの体をスルスルと登って、
その首にクルクルと巻き付いた。
「うわっ!ビ、ビックリした~」
「おお!なんかコインが超高級な襟巻しているみたいだな」
「コインには高級に見え過ぎて見合わない」
「ガハハハッ!随分とコインは、ファーに気に入られてるみたいだな、
そいつが生まれた頃からの付き合いだが、そんなに人に懐くのを始めて見たぜ」
「そうなんですか、それは大変に光栄ですね」
「それだけ密着していれば魔力を吸い放題だろうね」
「むぅ・・・私の魔力の方が良質な筈なのに・・・」
「さて、そんじゃハヤイ達への紹介も済んだ事だし、
村の連中と一緒に開く歓迎会までには、まだ少し時間があるから、
それまでは、ウチの空き部屋に案内するから、
そこで、ゆっくりとしててくれや」
「はい、分かりました。
ありがとう御座います。村長さん」
「世話になるね」
「感謝する」




