サダキチさん
「それで、こっちと日本との魂の通り道があるから、
魂のコピーである僕を連れて来るのが、割と容易だったってのは分かったんだけど、
僕は、これからコイン君として何をすれば良いのかな?
やっぱり、魔王を倒すとか、戦争を収めるとかしなきゃならないのかな?」
「いえいえ、次の魔王が生まれるのは大分先になると思いますし、
最近は、国同士の関係も良好で争い事など起きそうにありませんから、
あなたは、こちらの世界でコイン君として自由に生きて頂ければ結構ですよ」
「えっ?態々、日本でコイン君に合う魂を捜し出して、
見付けた僕を呼んで生き返らす事までしたんだから、
コイン君には何かしらの使命みたいなものが、あったんじゃ無いのか?」
「いいえ、コイン君には別に使命なんてありませんよ、
私の希望と致しましては、
コイン君が只の『村人A』として命を落とさねば、それで良いんですよ」
「ほう・・・逆を言えば、コイン君が『村人A』として死ぬと、
女神ちゃん(小)が困るという事なのか・・・」
「ギクッ!」
「自分で『ギクッ!』と言うとは、図星と見て間違いが無さそうだね、
それでは、女神ちゃん(小)が困る理由というのを詳しく話して貰えるかな?」
「え~と、それ程、大した理由じゃ無いんですけど、
そんなに聞きたいですか?」
「ああ、僕が呼ばれた原因が何なのかぐらいは聞いて置きたいね」
「え~、原因という程のものじゃ無いんですけど、
協力者である、あなたには一応お話して置きますね、
事の起こりはコイン君が生まれる15年程前に遡るんですけど、
コイン君は、私が担当していた地域に王族として生まれてくる予定でありました。」
「えっ!?そのコイン君が、どうして村人として死んだんだ?」
「それはですね、私がコイン君の出生予定表を記入する際にですね、
本来であれば『王族』と記入するところを・・・
間違えて『玉族』と記入してしまったからでありました!ジャジャ~ン!」
「『ジャジャ~ン!』じゃ無ぇ!
全部、お前の所為だったんじゃねぇかよ!
大体、何で女神様の端末であるお前が、そんな単純なミスを犯したんだよ?」
「それにはですね、海よりも高く、山よりも深い事情がありまして・・・」
「お前、全然反省して無いだろ?
それで、何が原因だったんだ?」
「何分にも15年も昔の事なので、
それが本当の理由であったかは定かでは御座いませんが、
私が、その書類を記入していた時間帯にですね、
深夜アニメの『あず〇んが大王』が放映されて居りましたので、
恐らく、それが原因では無いかと・・・」
「そうか~、確かに『あずま〇が大王』は面白いもんな~、
それは、仕方が無い事だよな~」
「ですよね!ですよね!」
「なんて言うと思うかボケ!
ひと一人の人生を、深夜アニメ見てて台無しにするんじゃ無ぇ!」