白い大イタチと言えば・・・
「俺が最初にアイツらを森で見つけた時は、
あの一番大きな白いのと、その隣の少し小さめの茶色いのの2頭のみだったんだよ、
後の連中は、ウチに来てから繁殖で増えた口だな・・・」
村長が、ニョキニョキと首を持ち上げて、
こちらの方を警戒する様に見ているイタチ達を見ながら、そう言った。
「あの大きい2頭が親なんですか、
子供たちっていうのは全部で何頭居るんですか?」
「胴体が絡まってるから何頭居るか良く分からないね・・・」
「子供たちの中にも1頭だけ白いのが居る」
「ああ、子供らは全部で10頭だな、
メスが6頭で、オスが4頭だぞ」
「やっぱり、一番大きな白いのが、お父さんなんですか?」
「あの中では一番強そうだしね」
「一番偉そうにしている」
「いや、あれは母親で、
隣の茶色いのが父親だ」
「えっ!?メスの方が大きいんですか?」
「ああ、多分あのメスの方が年上なんだと思うぞ」
「おお、姐さん女房って訳ですね」
「見るからに、尻に敷かれてそうだな・・・」
「お婿さんみたいに小さくなってる様」
「そろそろ、お前さん方を覚えたと思うから、
もっと近くに行って見ようや」
「大丈夫なんですか?」
「まあ、威嚇してる感じも無いから大丈夫だろ」
「私達が小さいから油断しているみたい」
「おう、俺が一緒に行けば、
俺の仲間って認識するみたいだから大丈夫だぜ」
「では、ご一緒します。」
コイン達が、村長と一緒にイタチらに近付いて見ると、
更に、その大きさを詳細に感じ取れる事から威圧感が増す感じがして、
一番大きな母親は、やはり5メートル程はあると見える、
ついで父親が4メートル程、子供らは2~3メートルぐらいと、
マチマチな大きさで、その幼さを感じさせる表情と『キュキュキュ』という鳴き声が、
非常に愛くるしさを感じさせた。
『ギュギュギュ~!』
子供らの愛くるしい鳴き声とは違い、
母親の出す鳴き声は野太く空気を振動させる様だ
「迫力がありますね、
こうして近くで見てると、自分がガ〇バになった様な気がしますよ」
「何だ?そのバン〇ってのは・・・」
「僕が生まれ育った国の物語で、
ガ〇バっていう野ネズミが主人公の物があるんですよ、
主人公は仲間の野ネズミ達と暮らして居るんですけど、
彼らの天敵が、白い大イタチの『ノロイ』ってヤツなんです。」
「ほう・・・奇遇だな、
ウチの白いのの名は『ハヤイ』ってんだよ」
「イヤイヤ!鈍い早いの『鈍い』じゃ無いと思いますよ!」
『キュキュキュ~!』
その時、イタチの群れの中から、
子供達の中で、唯一母親と同じ白い毛並みの子イタチが出て来て、
コインの近くに寄ると、その身をスリスリとコインの体へ摺り寄せた。
「へ~、ホントに人に慣れてるんですね、
子供とはいえ、魔獣がこんなに人懐っこいとは思いませんでした。」
「ああ、こうして近くで見てみると、
イタチも、なかなか可愛いもんだな」
「ちょっと羨ましい」




