限度知らず
「どうだ?コイン達も、
俺が手塩にかけて育てているイタチらを見てみたいだろ?」
ディック村長が期待を込めた眼差しで、
コイン達に、そう尋ねて来るが、
コインらは正直言って、巨漢の老人がキラキラした眼差しをしていても、
別段、心に響いて来るものを感じはしなかった。
「え?イタチですか?
いや~、正直そんなに興味があるとは・・・」
「そうだね、狩りとかで普通に森に入れば偶に見掛けるからね」
「遠慮をする」
「そうか!そうか!やっぱり皆、見てみたいか!
良いだろう!普段は未公開なんだが、
特別にケンケンの知り合いという事で見学させてやるぜ!」
「聞いちゃいねぇ!」
「今晩、世話になる事だし、
こりゃ付き合ってやらなきゃ済まない様だね」
「むぅ・・・」
「さあ皆!イタチハウスは、こっちだから付いてくるんだぜ!」
「イタチハウスって・・・何かム〇オハウスを思い出すネーミング・センスだな」
「なんだい?その、ムネ〇ハウスってのは」
「楽しげな響き」
「僕やライ様が居た国の政治家が、
税金を無駄遣いして建てた公共施設の名前ですよ」
「どこの世界にも、そんなお偉いさんが居るもんだな」
「同感」
「おい!無駄話をしてないで、とっとと付いて来いや!
早く来ないとイタチらの見学時間が短くなっちまうだろうが!」
「はいはい、分かりました。
今、行きますね~」
「しょうがねぇ、とっとと行って、とっとと終わらせようや」
「それが良い」
ロックらは、先導する村長に続いて家の廊下を奥へと進むと、
廊下の一番奥にある扉を開けて潜った。
「この渡り廊下の先がイタチハウスだぜ」
「あれ?イタチハウスって外にあるんじゃ無いんですか?」
てっきり、扉が裏口となっていて、
そこから外にあるイタチハウスへと向かうと思っていたコインが、そう尋ねる
「あ~ん?お前さん、普通、家族を外に住ませると思うのか?」
「い、いえ、家族同然のイタチ君たちを外に住ませる訳が無いですよね~」
「おう!当ったりめぇじゃねぇか!」
「ですよね~」
「おいコイン、言動には気を付けた方が良いぞ」
「口は災いの元」
長い渡り廊下を進んで行くと、突当りに、また先程と同じ様な扉が現われ、
村長が、その扉を開きながら、
「さあ!こっからがイタチハウスだ!
ゆっくりと楽しんでってくれや!」と告げる
「え、ええ、それじゃお邪魔しま~す。」
「邪魔するよ」
「お邪魔」
ロックらが扉からイタチハウスへと足を踏み入れると、
そこには、横幅が50メートルほどで、奥行きが100メートルほど、
天井は屋根の形なりに中央部分が8メートルほどで、両端は5メートルほどの、
巨大空間が広がっており、板張りの床の奥の方には寝藁らしき物が、
広々と敷き詰められていた。
「広っ!?」
「確かに、とんでもない広さの建物だね、
一体全体、何匹のイタチを飼育すれば、
これ程のスペースが必要だってんだい・・・」
「ベスボルの試合が出来そう」
「ガハハハッ!ウチのイタチらに狭苦しい思いをさせる訳には行かねぇからな!
猟師をしていた頃に溜めこんでいた金は、この建物で吹き飛んじまったぜ!」
「これ程の建物が建てられるぐらいの稼ぎがあったんなら、
現役の頃の村長さんって腕の良い猟師だったんでしょうね」
「そうだね、知り合いとかの大工に頼んだとしても、
相当の建築料金が掛かったんだと思うよ」
「私は、今どうやって食べて暮らしてるかが気になる」




