一九九九年 七ノ月
「そんじゃ私は、これで帰るわね」
頃合いを見計らった女神ちゃん(小)が、
コインらに、そう告げる
「おう、どうせこれからも、
何かあったら、また顔を出すんだろ?」
「モチのロンよ、コイン君の今後には、
私の出世が絡んでくるんだから、何か問題が発生しそうになったら、
それを、改修すべく顔を出すわよ」
「まあ、なるべく女神ちゃん(小)が来なくて済む様に、
自分でも頑張ってみるよ、そんじゃ~な」
「女神ちゃん(小)様、
本日は、ありがたき御加護を授けて頂きまして、ありがとう御座いました。」
「バイバイ」
「うん、そんじゃ~ね、バッハハ~イ!ケロヨ~ン!」
女神ちゃん(小)は例によって、バフッ!という煙と共に消え去った。
「さて、そんじゃ私らも、さっさと調理具やテーブルなんかを片して、
暗くなる前に出発するとするかね」
「了解」
「あっ、じゃあ僕が洗い物をしますよ」
「ああ、助かるよ、
ついでに川に沈めて血抜きしてた獲物も回収しちゃいなよ」
「今度、血抜きの魔法を教えてあげる」
「ええ、分かりました。
それから、パサラさん是非お願いします!」
皆で手分けして片付けをしたので、
然程の時間を掛けずに出発の準備が整った。
「さて、最後に火の始末も確認した事だし、
そろそろ出発するかね?」
「オッケー」
「了解です。
聞いた話では、ここからだと『ブラック村』が近い様ですけど、
今夜は、そこに泊まる予定でしょうか?」
「ああ、そうだね、その村から街道沿いに進んで、
次に泊まる予定の『ガンセキの街』なら、冒険者ギルドの支部があると思うから、
コイン君も、さっさと登録を済ませちゃった方が良いよ」
「登録すれば、狩った獲物が売れるし、ポイントも付く」
「やっぱ、ポイントを集めるとギルドでのランクが上がるんですか?」
「ああ、それには、ちょうど仕留めた獲物のクエストが、
発注されてたらって条件が付くけど、
大概の獲物だったら、その街の肉屋とか食堂から常時発注が出てるからね、
余程、在庫がダブついてるとかじゃ無い限りはクエストでクリア出来るね」
「コインは運が悪そうだから受注出来ないかも知れない」
「やな予想を、しないで下さいよ、パサラさん
何か、パサラさんて勘が鋭そうだからホントになりそうで怖いです。」
「ああ、パサラの予想は、
時々『それは最早、予言じゃないのかい?』ってぐらい当たる時があるからね、
今回も、もしかすると、もしかするかもね?」
「私には見える・・・
獲物が売れなくて、ギルドの床に寝転がって駄々を捏ねるコインの姿が・・・」
「マジで勘弁して下さいよ~~~」




