アマちゃん
「そうです。
今の、あなたの体は日本に居た時の小銭溜太(笑)では無く、
この世界シエラザードに生まれて、
不慮の事故で惜しむらくも若くして亡くなった
『コイン』君15歳の体なのです!ジャジャ~ン!」
「僕の名前の後ろに(笑)が付いてるのが微妙に気にはなるが、
まあそれは、この際流すとして、
じゃあ、僕の魂だけが、
この世界へと渡って来て、亡くなったコイン君の体に入ったって事なのか?」
「ブブ~!とても惜しい解答ですが違います。
日本では、あなたのオリジナルが今も普通に生活を続けて居りまして、
今、コイン君の中に居る貴方はオリジナルのコピーである、
言うなれば『溜太マークⅡ』なのです!」
「いや、そんな何処かの機〇戦士みたいに言われても・・・
そんじゃ、今も日本には僕が居るって事なんだね」
「その通り!日本に居るオリジナルの貴方は、
いつもの様に自室でゲームをやったり、漫画やラノベを読んでいる事でしょう。」
「なんだか、女神ちゃん(小)は随分と僕の事に詳しい様だね?」
「はい!コイン君の体に合う魂を探す為に、
かなりの厳選を積み重ねて来ましたからね!
有力候補となった貴方の事も調べに調べ尽くしましたよ!
もし、『小銭溜太』検定なるものが存在したら、私が断トツで1番になる事が間違い無しですよ!」
「それは、嫌な検定だな、
しかし、さっき異世界から人を送るのは難しい様な事を言ってたと思うんだが、
コピーした魂を送るってのも相当に難しいんじゃないのか?」
「そうでもありませんよ、魂をコピーするのはゴーレムを造るのと大差がありませんし、
元々、日本とシエラザードには魂の通り道がありますからね」
「えっ!?そんなもんが、あるのか?」
「はい、基本的に日本で命を落とした人はシエラザードへと、
またシエラザードで死んだ人は日本で生まれ変わりますね、
殆どの人が、前の世界での事を忘れているんですけど、
極稀に一部の記憶を残したまま生まれる人が居るみたいで、
あなたが好きなラノベ作家の方々にも、そういう人が多く居られるみたいですね」
「なんで態々、入れ替わって他の世界で生まれるシステムになってるんだ?」
「そうですね・・・人を作物に例えるのは良く無いかも知れませんが、
あなたは、作物の連作障害っていうのを御存じですか?」
「確か・・・同じ畑で、同じ作物を続けて作ると品質や収穫量が悪くなるってヤツだっけ?
って事は、同じ世界で生まれ変わると、何らかの悪影響があるって事なのか?」
「はい、神様方にも原因が分からないらしいのですが、
同じ世界で生まれ変わると、身体や精神に問題が起こり易いみたいなんです。」
「なる程、それでコッチと入れ替える事にした訳か・・・
それで、日本の魂が来るのは、ここに限られているのか?」
「はい、誰かに強制的に召喚されるなどの一部の例外を除いては、
基本的に皆さんシエラザードへと来られますね」
「ここに限定されてるのは、何かしらの理由でもあるのか?」
「はい、この世界を治める女神フェルナ様と、日本のアマちゃんが、
『聖・女神様が学んでる女学院』の先輩・後輩の仲だったからですね、
一つ年上のフェルナ様は、アマちゃんから『フェルお姉様』と呼ばれて、
とても慕われていらしたそうです。」
「その、某国営放送のヒロインみたいな呼び名の、
日本の女神様は有名な方なのか?」
「はい、御存じでは無いでしょうか?
『アマテラス』様と仰られるんですが・・・」
「アマちゃんって、『天照大御神』様の事なのかよ!!」