お好み読本(どくほん)
「え~っとね、さっき過去の私の映像データを見直してみたら、
200年程前当時の私は読書に超ハマっててね、
ちょうど、私の好きなノリナガ君の本が出たばかりだったから、
それを、サラッと読み終えてからパサラちゃんの所に行こうと思ってたんだけど、
余りに、その本が面白すぎたんで、
読み終えた頃にはスッカリ忘れちゃってたって~寸法よ!」
「ほ~、女神ちゃん(小)様は読書家なのですね」
「私も魔導書を読む時は、時間を忘れる」
「この体の、元々の持ち主のコイン君と同じ様なパターンじゃ無ぇかよ!
僕も読書は好きだったから、その気持ちを幾らかは分からんでも無いけど、
加護を与えるっていう女神の端末としての大事な要件を忘れる程に、
その、ノリナガ君って人の本は面白かったのか?」
「ええ、それはもうチョ~面白かったわよ!
コイン君は知らないかしら?『古事記伝』って本なんだけど・・・」
「ノリナガ君って『本居宣長』なのかよ!
大体、古事記伝ってサラッと読める類の本じゃねぇだろ!」
「まあ、イックンの『東海道中膝栗毛』ほど読み易くは無かったけどね」
「十返舎一九をイックンて呼ぶな!
そんな、しょ~もない理由でパサラさんは加護が貰えずに、
二百年も封印されて閉じ込められてたってのかよ、
お前、ちゃんと心から反省してパサラさんに謝れよ!」
「ゴメンねゴメンね~」
「誠意が、ちっとも伝わらねぇ!」
「そんなに、こめかみに筋を浮かべながら怒らなくても良いじゃ無いのよコイン君、
言葉の受け止め方なんて人其々じゃ無い?
もしかしたら、さっきのでパサラちゃんには、
ちゃんと誠意が伝わっているかも知れないでしょ?」
「よ~し、そこまで女神ちゃん(小)が言うなら聞いてみるか?
パサラさん、さっきの女神ちゃん(小)の謝罪で納得が行きましたか?」
「お蔭でライ兄ィたちに出会えたから良い」
「そうだな、私も、そのお蔭でパサラと友達になれたしな」
「ほら~」
「チョ~納得行かね~!」
「と言う事で、今回の問題は女神様にはナイショって事でシクヨロ!」
「む~、ハッキリ言って僕は全然、納得が行かんが、
当事者のパサラさんが許すって言ってんだから仕方が無いか・・・」
「分かりました!女神ちゃん(小)様
私も、他言無用を心掛けます!」
「私も話さない。」
「皆ありがと~!
これで、私の査定の評価が、これ以上ダダ下がりしないで済むわ~」
「お前は、もう少し勤務態度を改めた方が良いぞ、
それで、パサラさんの加護なんだけど今からでも与えられるのか?
それとも、やっぱ契約期限とかがあって間に合わなかった。とかか?」
「ううん、期限なんか設定されて無いから大丈夫よ、
予定より大分遅くなっちゃったけど、
今から、チャチャッとやっちゃうわね、
アラビ~ン・ドビ~ン・ハゲチャ~~~ビン!ハイ!
これで無事、本契約になったわよ」
「呪文テキトーだなオイ!」




