夢のサクセス・ストーリー
「何故も何も、コイン君の発言はイチイチ迂闊過ぎるわよ、
大昔から語り継がれている『勇者イチロー』の伝説の所為で、
転移者という特別な能力を持つ存在が居る事は広く知られているから、
さっきの様な発言をしていると、勘の良い人なら直ぐに気付くと思うわよ」
「コインは、こちらの世界の事を知らな過ぎ」
何故、自分が元日本人と気付いたのかを問い掛けるコインに対して、
ポラリとパサラが痛烈にダメ出しをする
「一応、前に立ち寄った村の村長さんに、
この世界の基本的な事とかは、大体教わっといたんですけどね・・・」
「まだまだ、全然足りてないわね、
それと、私達が確信を持ったのは『コインブースト』に使用したエン硬貨を見たからね、
前に、ライ様がニホンで使用されている硬貨を、
絵に描いて教えてくれた時の物とソックリだったもの」
「同じ文字が書いてあった。」
「ライ様っていうと、確かパサラさんのお兄さんっていう人ですよね?」
「そうよ、どうやらコイン君も元ニホン人らしいから話すけど、
ライ様は、ニホンで雷に打たれて命を落とされたら、
気が付くと、こちらの世界に生まれ変わっていらしたそうよ」
「ライ兄ィは、幻と言われていた雷魔法の上位スキルである、
雷魔導を身に付けて生まれ変わっていた。」
「おおっ!幻の魔法とかって凄そうですね」
「そりゃ勿論の事、凄いわよ、
何しろライ様は、その雷魔導を使われて魔王を討伐して勇者になられ、
自らマッスル王国を立ち上げて、その国の国王陛下と成られたんだから」
「夢のサクセス・ストーリー」
「ええっ!?勇者とか国王陛下とかマジですか!?」
「正真正銘ホントの事よ、何しろウチの両親も、
ライ様が国を立ち上げる際には最初から協力をしていて、
今では、その功績から国の重鎮に納まってるもの」
「ポラリの両親は、ライ兄ィの大親友でもある」
「それじゃ、パサラさんと、ポラリさんって、
お二人揃って良いとこのお嬢様なんですね」
「まあ、国の重鎮の娘と、王様の妹だから、そうは言えるかも知れないけど、
私もパサラも冒険者暮らしが長いから、ちゃんとした作法とかは苦手ね、
却って、コイン君の方が話の節々とかに良いとこの、
お坊っちゃんらしさなんかを感じさせるんだけど?」
「世慣れて居ない感じがする」
「まあ、日本に居た頃は、それなりに裕福な家庭で育っては居ましたが、
所詮は、歴史が古いってのが自慢の、老舗の家具屋の倅ですからね、
お二人とは比べ物にもなりませんよ」
「ニホンでの扱いは、如何なのかは分からないけど、
こちらの世界での老舗の大きな商会なんかは、
国に意見出来る程の力を持ってる所なんかもあるわよ」
「物流を制すは、全てを制す。」
「それは凄いですね、日本では流石に単独で、
そこまでの力を持った商会とかはありませんけど、
沢山の商会が共同で国に陳状を上げるとかはありますね」




