ダンジョンの秘密
「美味っ!? この焼肉のタレ激ウマですね!」
コインは、やや薄めにスライスされた焼肉を、
ポラリから分けて貰ったタレにつけて一口食べると、
その、余りにもの美味しさに驚嘆の声を上げた。
「だろ?『ピロン焼肉のタレ』は世界中に焼肉ブームを起こして以降、
常に、売上ナンバーワンを記録している人気商品だからな、
老若男女問わず、誰の口にも合うっていう優れものさ」
「このタレの所為で、世界的にステーキの売り上げが落ち込んだと言われてる」
「この美味しさなら、その評価も頷けますね」
「さて、食事も始まった事だし、
食べながらで良いからコイン君に聞いて欲しい事があるんだけど、
ちょっと、良いかな?」
「モグモグ (?)
はい、お聞きしますよ モグモグ」
「では、発表いたします!
厳正なる審議の結果、我らが冒険者パーティー『殲滅乙女団』への、
コイン君の加入が決定しました~!」
「ワ~、パチパチパチパチ」
「ブホッ! ゲホゲホゲホ・・・
そ、そ、それは、どういう事なんですか!?」
「どういう事って、コイン君が私らのパーティーに加入するって事さ」
「光栄に思うがよい」
「だ、だ、だって、さっきまでは、
ポラリさん達のパーティーはA級の実力を持ってるから、
僕が、どんなユニークスキルを持ってたところで、
勧誘とかしないって言ってたじゃ無いですか」
「ああ、確かに私らの力からすれば2人でもやってけると思うんだが、
コイン君の持ってるユニークの方に問題があるんだよ」
「危険の芽は摘んでおくに限る」
「僕のユニークにですか?」
「ああ、その辺の話をする前に、
まずは、私らの方の事情を話しとく必要があるんだが、
コイン君は、この国に最近ダンジョンが発見されたっていう話は聞いてるかい?」
「学院都市付近で見つかった。」
「え? ええ、前に立ち寄った村で聞きましたが・・・」
「じゃあ、その新発見されたダンジョンってのが、
通常のダンジョンと随分と違ってたってのは聞いてるかな?」
「ここ、重要点」
「いえ、そこまで詳しい話はお聞きしていませんね」
「じゃあ、教えてあげるけど、
一般的に言ってダンジョンってのは、
地中深くに流れている霊脈の濃い場所から、漏れ出した魔素によって生まれるんだけど、
その辺の事は知ってるかな?」
「一般常識」
「い、いえ、知りませんでした。」
「そうかい、まあ、そうやって生まれてるんだけど、
そんな生まれ方をしてるもんだから、
地表に向かって魔素が薄くなってくってのは理解出来るよね」
「地表近くでは、かなり薄まってる」
「ええ、地中深くから漏れ出しているんだから、
当然、そうなるでしょうね」
「そう、そこで、コイン君に問題なんだが、
地表に近い部分でも、空気中に拡散しているよりは濃い魔素が、
最終的には、どこに行ってると思うかい?」
「サービス問題です。」
「そりゃ、ダンジョンっていうのは洞穴みたいな物だって、
前に寄った村で聞いたから、
入り口の穴から空気中にでも拡散するんじゃ無いんですか?」
「ピンポン!ピンポ~ン!大正解です。」
「1ポイント獲得」
「ありがとう御座います。
でも、それが如何したんですか?」




