発覚
「そうらしいっすよ、アタイも先輩の冒険者の人達から
又聞きした話なんっすけど、
伝説の天才テーマー『擬態』ことジョゼッペリーは
テイムしたい魔獣の群れに違和感無く溶け込んで、
仲間として信頼を得てからテイムするのが
いつもの手口だったらしいっすからね」
コインの質問の言葉を受けた
サナエが、そう言葉を返す
「へ~、警戒心が強い魔獣が多い中で
仲間として認識させるまでの擬態をするなんて、
もの凄い才能ですよね・・・」
「まあ、その天才テーマーっていう爺さんの話は
取り敢えず置いておく事として、
あんたら、ナンカイイカン鹿?の子供らが
無事ってんなら話は早いよ、
良いかい?小鹿らは親鹿に返して
森へとお帰りを願うとするからね」
ハンサム・シティーの代表者4人組に対して
ポラリが述べる
「そ、それは困るよ!」
「小鹿らが居なくなったら」
「スミス氏が再び、この街を訪れた際に」
「『イマスグ・モテール』が作って貰えなく
なってしまうではないか!」
「あんたら、まだ、そんな事を言ってるのかい!?
ナンカイイカン鹿?の子供から抽出したエキスとやらで
本当に、そんな薬品が作れるのなら兎も角、
あんたらは、そのスミスとやらに騙されてんだから、
とっとと小鹿らを開放して、問題を解決しちまいなよ!」
「い、いや、僕らは決して騙されてなどは・・・」
「あの、スミス氏が嘘を吐くなんて考えられないよ・・・」
「御神水の力は確かだと思うし・・・」
「僕らの勘が、スミス氏と御神水は『ホンモノ』だと
告げてるんだよ・・・」
「何を、四の五の言ってるんだい!
そんなモン、商業ギルドに確りと鑑定して貰えば
済む事じゃないかい!
そんなとこでブツクサ言ってないで、
とっとと人をやって鑑定をして貰いなよ!」
「わ、分かったよ」
「僕らの勘は確かだと思うが」
「一応、確認の為にでも」
「商業ギルドで鑑定をして貰うよ」
ポラリの剣幕に肝を冷やした4人は
傍らで成り行きを見守っていた
ハンサム・シティーの警備責任者デスヨネーに命じて
商業ギルドの鑑定人の元へと、
『イマスグ・モテール』を持たせ送り出した。
「鑑定結果が出ました。
こちらが、鑑定した成分表となります。」
街の代表者らからの依頼とあって
商業ギルドの方も最優先で鑑定をしたらしく
幾らも経たない内に、鑑定結果を携えたデスヨネーが戻って来た
デスヨネーは、鑑定結果が記載された書類を代表の1人へと
手渡しながら、そう告げた
「ああ、ご苦労だったな、デスヨネー」
「それで、鑑定の結果は如何だったのかな?」
「う~む、どれどれ・・・主な成分としては
・・・『不死山の天然水』と
『ゴールド・ウッドライノーの香りエキス』だな・・・」
「な、なんだって~!」
「どうやら、ウチのパサラの鑑定結果と同じだった様だね、
これで、あんたらがジョン・スミスとやらに
騙されていた事がハッキリとしたよね?
まあ、その名前も十中八九偽名だろうけどね・・・」
「ま、まさか、スミス氏が嘘を吐いていたなんて・・・」
「僕らの勘も外れてたとは・・・」
「ヘソクリを叩いてS級冒険者に依頼を出したのも・・・」
「全てが水の泡と化してしまった・・・」
「まあ、これに懲りて、
あんたらも街の代表者を名乗るなら、
人を疑うって事も覚えた方が良いね」
「同感」
「授業料は高く付いたっすね」
「自業自得とはいえ、何か可哀想ですね」




