四代目
「「「「やあ!良く、いらっしゃいました!
A級冒険者パーティーの皆さん!」」」」
コインら一行が、ハンサム・シティの権力者たちが
待つという執務室へと足を踏み入れると、
正面に、大きな執務机の奥で高級そうな椅子から
立ち上がりながら歓迎の言葉を述べる
20代前半位の年齢に見える青年が目に入る、
執務机の前には豪華な応接セットが置かれ、
一見、普通のお偉いさん用執務室なのだが、
正面にある執務机の他にも、
同じ大きさの執務机が横に4つ並べられた光景が
それを否定していた。
「あんたらかい?この街のトップ連中ってのは・・・」
「よろ」
「あの、バカデカい机が並んでる所為で、
やたらと横に長い部屋っすね」
「ええ、廊下の一番奥じゃ無くて、
もっと手前に入り口を設けた方が、
早く入室出来ますよね」
「「「「いかにも!我らが、このハンサム・シティの
トップ集団Y・H・S・Bだ!」」」」
「そういや、気になってたんだけど、
その『Y・H・S・B』ってのは、何の略なんだい?」
コインらの気持ちを代弁して、
一行のリーダーであるポラリが尋ねる
「ほ~、それを聞いてしまいますか、
冒険者のお嬢さん」
「我らは、偉大なる先代方への尊敬の気持ちを込めて」
「自分らトップ集団に、この名を付けました!」
「四代目・ハンサム・ソウル・ブラザーズとね!」
「四代目だけ横文字じゃ無いんだね」
「ダサ」
「こう言っちゃなんだけど、先代の人たちは兎も角
本人らは名前負けしてるっすよね」
「しっ!サナエさん、そういうのは触れないで
置いてあげるのが優しさなんですよ」
サナエが言う様に、彼らの背後の壁には、
彼らの御先祖と思われる初代街長からの肖像画が、
初代→二代目→三代目の順番に並べて飾られているのであるが、
初代は世界的に通用しそうな超ハンサム4人組、
二代目は国内で人気が出そうな4人組、
三代目は地方限定アイドル4人組といった具合に
世代を重ねる毎にスケールダウンをして行く感じであった。
「いや、そこの獣人のお嬢さんに言われなくても
我々も薄々感付いてはいるんだよ、少年」
「そう、我らが先代らと比べて少し見栄えが悪いとね」
「ああ、所詮我らは街で時々見かける
ちょっとカッコイイお兄さんでしか無い事にね」
「道ですれ違った時に、振り返って2度見したら
そうでも無かった程度のものさ・・・」
「あんた達、もっと客観的に自分らを見詰め直して
みた方が良いんじゃ無いのかい?」
「過大評価」
「贔屓目に見て、十人並みっすよね」
「皆さん、もっとオブラートに包んだ方が・・・」
彼ら自身らが言う様に、
土台となる顔自体は悪くは無いと思われるのであるが、
4人とも、デブとは言わないまでも、
全体的にポッチャリとした体形と、
その両頬に付いた贅肉とが、
彼らの見栄えを著しく低下させているのであった。




