やっぱり・細い・昭和の・ベルト
「は、はい!直ちに門を開きますから、
少々、お待ち下さいませ。
お、おい!お前達、とっとと閂を外せ!
門の外にA級冒険者パーティーの方々がお見えになったから、
これで、助かるかも知れないぞ!」
「何!それはホントか!?」
「A級の冒険者の方々なら、
ナンカイイカン鹿?など、何百頭居ようとも大丈夫だろ!」
「おお!今すぐ門を開けるぞ!」
門の中から、人々の歓声と共にガタゴトと
門を閉ざしている閂を外す音らしき物が聞こえて来る・・・
「どうやら、街の連中も、
相当、切羽詰って居たようだね」
「金儲けの予感」
「この国には、元々大した強さの魔獣が居ないっすからね、
街の警備兵にしても2~3人でホーンラビット程度の強さの
魔獣が、やっとこさ倒せる程度の腕前ばかりっすよ」
「この街の様子だと、上手い事話を進めれば
鹿達が抱える問題を早めに解決出来るかも知れないですね」
「お待たせいたしました!A級冒険者の皆様!
どうぞ、街の中へとお入り下さいませ!
当ハンサム・シティーへと、ようこそお出で下さいました!」
大きな木製の門がギギ~ッと軋む音を発てて開かれると、
中から軽鎧に身を包み、その右手に槍を掴んだ、
見るからに門を守る警備兵の見本の様な男が現われ
コインら一行に対して、そう告げた。
「ああ、それじゃ、入らせて貰うよ」
「うむ、苦しゅう無い」
「お邪魔~っす。」
「お邪魔します。」
一行は、警備兵らしき男の言葉に従って、
街の中へと歩を進めた。
「A級冒険者の皆様、早速で恐縮ですが、
この街の代表の方々とお会いして頂きたいのですが、
宜しいでしょうか?」
コインらが、門を潜り街の中へと入ると再び門は閉ざされ、
シッカリと閂が掛けられたのを確認した後に、
男がコインらに、そう尋ねる
「ああ、元々この街に用事があって来たんだけど、
それなりの立場に居る人達に聞くのが、
一番、手っ取り早いだろうからね、構わないよ、
それから、私達の事は『殲滅の乙女団』って呼んでくれるかい」
「はい、ありがとう御座います。『殲滅の乙女団』の皆様
申し遅れましたが、私はコノ街の警備責任者を務めている
『デスヨネー』と申す者です。
よろしくお願い申し上げます!」
「ああ、よろしくな、デスヨネーさん
私はポラリってんだよ」
「パサラ、茶請けは甘い物を所望」
「アタイはサナエっす!
よろしくお願いするっす!デスヨネーさん」
「コインです。よろしくお願いします。」
「はい、御丁寧に、ありがとう御座います。
では、代表の方々がいらっしゃる場所へと
皆様をご案内致しますから御足労下さいませ。」
デスヨネーは、コインらに告げると、
自らが先頭に立って、一行らを案内し始めた。
「見た感じ、あの正面に見えてるのが、
この街の庁舎なのかい?」
ポラリが、デスヨネーに尋ねる、
ハンサム・シティーは、先程、コインらが潜って来た
街の入り口にある大きな門から、
街の奥へと向かい大通りが伸び、
その両側には商店らしき建物が立ち並んでいて、
民家は、大通りから枝分かれしている
枝道の先に建っている様であった。
ポラリが先程尋ねた建物は、
大通りを進んだ正面、街の最奥に建つ一際大きな
佇まいを見せている建物の事であった。
「はい、あの建物が、
これから皆様を御案内する予定の、
この街の行政を司る『Y・H・S・Bハウス』です。」
「YHSB?何だいソリャ
何かの略なのかい?」
「安い・早い・素晴らしい・弁当」
「代表の人達の頭文字か何かじゃないっすか?」
「何か、そこはかとなく、
残念な予感が漂って来るネーミングですね」




