ニンニク辛味噌醤油
『キュキュッ?』
ファーが、ナンカイイカン鹿?たちに
何があったのかを訊ねる様に鳴く
『ケ~ン?』
『ケンケ~ン?』
それに対し鹿たちは、
自分らの事情を本当に打ち明けても良いのか
考えあぐねている様子だ。
『キュ~キュキュッキュ~』
それに対しファーが、
後ろの離れた場所に居るコインらの方へと
振り返りながら何かを告げた様子だが、
恐らく、自分には人間の仲間も居るから、
鹿らが抱えていると見える、何らかの人間とのトラブルを
解決出来るかも知れない、とでも伝えているのであろう
『ケンケ~ン?』
『ケ~ン』
『ケ~ン?』
『『『『ケンケ~ン!』』』』
『ケ~ン』
ファーの言葉を聞いた鹿たちは、
仲間内で頭を突き合わせて話し合いに興じていたが、
どうやら、ファーに相談をする形で話し合いに決着が
ついた様で、
代表らしき、ひと際大きな体と、立派な角とを持った
牡鹿が一匹でトコトコとファーの方へと近付いて行った。
『キュッ?』
『ケ~ン、ケンケ~ン、ケ~ン
ケンケンケンケ~ン・・・』
『キュキュッ!?キュキュキュ?』
『ケンケ~ン』
『キュキュッ!』
どうやら、鹿たちが抱える問題が判明した様で、
ファーは、鹿の代表へと一言声を掛けると、
コインらの待つ場所へと向かいタタタッと
走り始めた。
「如何だい?ファー
何か、アイツらが抱えている問題が分かったかい?」
「決裂したらモミジ鍋パーティー」
「臆病なナンカイイカン鹿?が、こんな街の近くまで
来てるんっすから、余程の事だと思うっすよね」
「おかえり、ファー
それで、何か分かったのかい?」
戻って来たファーに対し
コインらが各々声を掛ける
『キュキュ~、キュッキュキュキュキュ~
キュキュキュキュキュキュキュキュ~』
「なる程・・・そういう事だったのか・・・」
「何だって?コイン
ファーは何て言ってんだい?」
ファーの言葉を聞いて納得の表情を浮かべるコインに、
この冒険者パーティーのリーダーであるポラリが尋ねる
「ええ、何か、ファーが聞いて来た話では、
あの街に居る住人に、自分達の子供らを連れて行かれたので、
それを、連れ戻す為に押し寄せたのだと言ってるそうです。」
「あの街に、その連れ去られたっていう子供らが居るのは
確かなのかい?」
「ええ、何か、あの鹿たちは、
お互いを認識できる匂いを体から発しているそうで、
子供らの匂いが、あの街から漂って来てるって言ってました。」
「なる程ね、自分らの子供が連れ去られたと有っちゃ~
幾ら臆病な鹿たちでも街まで押し掛けるか・・・」
「むう、鹿刺しが食べ辛くなる話題」
「そう言えば、ナンカイイカン鹿?たちは、
とても子煩悩な種族だって聞いた事があるっすね」
「ええ、そういう訳なんで、
これから、あのハンサム・シティーへと向かって、
僕らで真相を確かめてみませんか?」




