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大ヒット・メーカー

「ふむ、その問題とか言うのは何なのじゃ?」

コインの言葉を聞いた博士が、そう質問をする


「僕の個人的な問題なので、

お聞きになっても大した事じゃ無いと

思われるかも知れませんが、

ズボンや下着を留めるのに普通

ベルトやヒモを使っているじゃないですか、

外出している時なんかは良いんですけど、

部屋でくつろいでいる時とか、

夜に寝ている時とかにヒモが体に食い込んで

痒くなったり痛くなったりするのが気になるんですよね、

そこで、このスプリング・スライムの素材を

薄い紐状にした物を、

ズボンや下着のウエスト部分を袋状にして通せば

楽になるんじゃ無いかと考えたんですよ」


「へ~、そりゃ確かに楽そうだね、

外に出ている時はズリ落ちそうで心配だから、

ベルトにした方が良さそうだけど、

部屋で着る分には良さそうな気がするね」

「同感」

「アタイみたいに、寝る時はノーパン派には

需要が無さそうっすけどね」


「ふむ、確かに楽になるかも知れんな・・・よし、

素材の在庫がウチにあるから、

取り敢えずは創って試してみるかのう」

博士は、そうコインらに告げると、

一行を伴って実験室へと向かった。



「さて、これが先程話したムシュウ草と共に

加工を施したスプリング・スライムの溶液じゃな」

博士が、学校の理科室などにある

フラスコの様な形状をした容器を掲げて告げる、

容器は透明で、中に入って居る僅かに黄色掛かった

透き通った液体が見て取れた。


「へ~、それが原材料って訳ですね、

常温でも液状を保っているんですね」


「うむ、この液体に『ニガニガ草』から

抽出したエキスを加えると、

固形化した状態になるのじゃよ」


「なる程、そうすると、

さっきの発射台でみた様な弾力性がある

ヒモ状に固定化する訳なんですね、

でも、こういった事って、

機密情報的な扱いにはなっていないんですか?」


「うむ、発明から十年間は商業ギルドが管理して

機密扱いとは成るんじゃが、

それ以降は、一般へと発表して、

それらを利用した商品の販売が自由化されるんじゃよ、

まあ、十年も経つと、

最初に発明をした者も用途が頭打ちとなるから、

新しい使い道を一般に委ねると言ったところじゃな・・・」


「なる程、そういうシステムになっているんですね、

確かに、商業ギルドとしても、

それに由って、新たなヒット商品なんかが

生まれてくれた方が嬉しいでしょうからね」


「そうじゃな、実際に開発者本人が考えた商品よりも、

十年経ってから、他の者が考えた物の方が

大ヒットしたという話が、まま有るからのう」


「優れた開発者イコール、優れたアイデアマンって

訳じゃ無いだろうからね、

博士の所の研究所の人達は、博士も含めて珍しく、

学者先生にしては、

柔軟な考えの持ち主ばかりみたいだけど、

一般的な学者先生は、頭の固い人が多いイメージだから、

発明を利用した商品の開発なんてのは、まず無理だろうね」

「餅は餅屋」

「学者の先生方って、浮世離れしたイメージっすから、

一般人に何が売れるかなんて分からないと思うっすよね」


「そう考えると、一般に公表されるまでの十年って期間が

何か勿体無い様な気がしますよね」


「うむ、発明の独占期間は最大で十年なんじゃが、

実際には、その利用方法が思い付かなくて、

発明の権利を、商業ギルドに買い上げて貰う者も

少なく無い様じゃな」


「ああ、やっぱり、

そういった仕組みも、ちゃんと出来ているんですね」

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