出会い
「よ~しと、狩って来た分の獲物には首に傷を入れて川に沈めたから、
後は、ある程度の血が抜けるのを見計らってから解体だな」
獲物を川に沈めたコインは、川岸の岩に腰を下ろして一休みする事とする
「おや、先客が居るみたいだね」
「気配は察知していた。」
「!?」
リラックスして岩に腰を下ろしていたコインは、
人の気配など微塵にも感じて居なかったにも関わらず、
突然、後ろから話し声がしたのでビックリして振り返った。
「ビックリさせたかい?
悪かったね、私もパサラも普段から気配を消しながら、
移動するのが癖になってるもんだから勘弁してね」
「修行不足」
「い、いえ、そちらの方が仰る通りに、
僕の気配察知の修行が足りないだけなんで問題ありません、
貴女方は、その服装や装備からすると冒険者の方々ですか?」
「ああ、私もパサラも冒険者だよ、
そう言う君も、その姿からすると御同業かい?」
「見た目は新米冒険者」
「いえ、冒険者になる為に他国から来たんですけど、
まだ登録を済ませて居ないので冒険者未満ですね、
僕はコインと申します。宜しくお願いしますね先輩予定の御二人さん」
「ああ、宜しくコイン君、
私は、見ての通りの熊獣人で冒険者をしているポラリってもんだよ、
こっちの無口なヤツは、私の親友で冒険者仲間のパサラってんだ
見た目は、こんなナリをしてるけど怒らせると私よりも数倍怖いから、
コイン君も気を付けるんだよ」
「ポラリは、いつも一言余計、
わたしはパサラ、宜しく」
「はい、ポラリさんと、パサラさんですね憶えました。
御二人は、僕が見た感じ、割と年が離れて居られる様に見受けられるんですけど、
御親友で冒険者パーティーを組まれていらっしゃるんですか?」
コインが見た所、熊獣人の女性は20代中頃で、
相方の人族らしき少女は10代前半に見えた。
「ハハハ、私らは、こう見えて同い年なんだよ」
「えっ!?お二人は同い年なんですか?」
「ああ、私もパサラも同じ18歳さ、
獣人の私は、体格が出来上がるまでの成長が早いんで、その分見た目が老けて見えるし、
逆に魔族のパサラは、長生きする分、成長が遅いんで幼く見えるんだよ」
「ポラリが大きくなり過ぎなだけ」
「そうなんですか、パサラさんは見た感じ人族にしか見えないんですけど、
魔族の方なんですね、
僕は、お会いしたのは初めてなんですけど、割と魔族の方っていらっしゃるんですか?」
「う~ん、他の種族と比べれば断然少ないけど偶に見掛ける程度かな?
小さな村なんかでは見ないけど、大きな街で稀に見る感じ?」
「昔の魔王の所為で、魔族は余り好かれていないから・・・」
「へ~、僕は知らないんですけど、
魔族の方と、魔王には何か関係があるんですか?」
「魔族と魔王の関係を知らないって、
あんた、どんな山奥から出て来たんだい?」
「魔王の多くは、魔族から成ったり、魔族によって生み出された。」
「なる程、そうだったんですか、
パサラさん、話しにくい事を、お聞きしてしまいまして、
申し訳ございませんでした。」




