フワフワ
「しかし、博士
プロペラを動かす動力源には、
コイン君のアイデアを採用する事として、
肝心な、空気より軽い気体を溜めて置くと言う
船の上の楕円形の部分の素材は如何いたしますか?
生半可な素材では、
飛行タイプの魔獣に破られてしまうと思われるのですが・・・」
博士の助手であるビーサンが問い掛ける
「う~む、そうじゃな・・・やはり、
強度面の事を鑑みると浮龍の腹の部分か、
飛龍の翼の被膜でも使うしか無いかのう・・・」
博士が、少し考え込んだ後に、そう告げる
「シーサンさん、飛龍は何となく分かるんですけど、
浮龍っていうのは、どんな魔獣?なんですか」
博士の言葉を聞いたコインが尋ねる
「ああ、コイン君は龍籠に乗った事が無いのか、
浮龍は魔獣で合ってるよ、
その浮龍って魔獣の下に籠をぶら下げて、
人を遠い場所まで運ぶ交通サービスがあるのさ」
「へ~、龍に籠をぶら下げて、
人を運ぶなんて凄いですね、
それを使うと、大分早く目的地まで行けそうですね」
「まあ、馬車なんかと比べれば大分早いけれど、
早さで言えば、飛龍の方がズッと早いかな、
その分、飛龍が1人か、
多くても2人しか乗せられないのに対して、
浮龍の方は、10人ぐらいまでなら乗れるって感じかな」
「なる程、使用する人の目的に対して、
使い分けるって感じなんですね・・・
ところで、僕のイメージとしては、
飛龍には、馬の手綱みたいのを付けて、
背中に乗るってイメージが出来るんですけど、
その、浮龍っていう魔獣の下に籠をぶら下げるのって、
どんな風に付けてあるんですか?
魔獣の足に踏みつけられない様に付けるのって、
かなり難しいと思うんですけど・・・」
「ああ、実際に浮龍を見た事が無いと分からないよね、
実は、浮龍には足が無いから、
踏みつけられる心配とかは無いんだよ、
魔獣の事を専門に研究している、
他の研究者の意見では、
普段から、魔法を使ってフワフワと空に浮いてるから、
段々と、足が退化して
無くなったんじゃないのか?っていう話しだね」
「足が無い?魔法でフワフワ浮いてる?
シーサンさん、今一イメージが湧いて来ないんですけど
その魔獣って、どんな姿形をしているんですか?
もし良かったら、フリーハンドで良いんで、
大凡の姿形を描いて教えて頂けますか?」
コインは、先程シーサンから借り受けたメモ用紙を、
シーサンの方へと返却しながら、そう告げた。
「ええ、良いですよ、
絵には余り自信が無いんですけど、
大体・・・・・こんな感じの形ですかね」
シーサンは、サラサラとフリーハンドで
浮龍の姿形を描き示すと、
その紙をコインに向けて差し出した。
「はい、ありがとう御座います。シーサンさん
え~と、どれどれ・・・えっ!?
浮龍って、まさかの空を飛ぶタツノオトシゴ!?」
コインは、シーサンが描いた絵を見て
紛う事無き、その身姿に驚愕の声を上げた。
「えっ?タツノ・・・何だって?」
「あっ!い、いえ、僕が知ってる海の生物に、
シーサンさんに描いて頂いた浮龍に良く似たものが居て
ちょっと驚いただけなんで、別に気にしないで下さい。」
「へ~、海に浮龍に似た生物がいるのか、
そう言えば、魔獣の研究者の中にも、
浮龍の足は退化したんじゃ無くて、
元々は、海の中で生息していたから足が無いんだって
主張している人も居たな~」
「僕的には、絶対に、
そっちの説の方を指示しますね!」