ジュワ~
「コイン君、このオニギリっていうのを、
もう一個貰えるかな?」
気に入ったのか、シーサンが尋ねる
「ええ、勿論、結構ですけど、
もう一捻りして御馳走致しましょうか?」
「もう一捻り?」
「ええ、オニギリは、
こうして食べても美味しいんですよ」
コインは、焼き肉を焼いていた網を、
専用のトングで挟んで、焼き台から外すと、
魔導バッグから新しい網を取り出して、
焼き台の上へと乗せる、
更に、魔導バッグから醤油を取り出し皿へと出すと、
調理用のハケでオニギリへと塗ってから、
そのオニギリを網の上へと乗せた。
「ほう、そのオニギリに塗った液体は何かね?」
直ぐ様、好奇心が旺盛な博士が喰い付いて来る
「これは、豆を加工した調味料で醤油という物ですね」
「ほう、豆を加工した調味料とな?
何故、豆を加工して液体の調味料となるのか、
非常に興味深い案件じゃな・・・」
「ショーユというのは、最近、
コウガ王国やマッスル王国にて、
流行り始めたという調味料ですね、
一度、食してみたいと思っていましたが、
まさか、ここで出会えるとは思ってもみませんでした。」
料理に関しては一家言が有るビーサンは、
醤油の事を知っていた様子である
「うわ~、何か良い匂いがしてきたよ!」
焼き台から立ち昇る醤油が焼ける匂いに、
食欲をそそられたシーサンが声を上げる
「醤油が焦げる匂いって香ばしくって、
僕も好きなんですよ」
調理用のトングでオニギリをひっくり返しながら
コインが、シーサンの言葉に同意を示した。
「確かに、食欲をそそられる芳香じゃな、
先程、頂いたオニギリで満腹となった気がしたが、
その、焼いたオニギリというものも、
食べて見たいと言う気がして来たわい」
「私も、ご相伴に与っても良いかな?コイン君」
「はい、博士とビーサンさんの分も、
お焼きして居りますので、
是非、召し上がって見て下さいね」
「私の分も2つ焼いて」
『私も!私も!』
隣りのテーブルにて、
もくもくと焼肉を胃へと送り込む作業を繰り返していた
パサラとショウが、コインに注文して来る
「2人とも、焼き肉と一緒に、
オニギリも2つ食べていましたよね?
よく、そんな量を食べられますね・・・」
「焼きオニギリは別腹」
『焼きオニギリは飲み物だから』
「そんな訳ねぇだろ!」
「ハハハ、コイン、私も焼いたのをくれるかい?」
「アタイも、焼きオニギリが欲しいっす!」
『キュキュ~!』
コインらの会話を聞いていた
ポラリとサナエとファーも、
焼きオニギリのリクエストをして来る
「はい、分かりました。
皆さんも、2つづつで良いですか?」
「う~ん、どうしようかな・・・?
ヤキニクの方を結構食べてるから、
今日は1つにしておくかね」
「アタイは、普通の方を食べて無いんで、
焼きを2つで、お願いするっす。」
『キュッ!』
「分かりました。
ポラリさんとファーが1つで、サナエさんが2つですね」
コインは、其々が注文した分のオニギリに醤油を塗り
網の上へと乗せた。