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機能美

ジュジュワ~! 

熱せられた目の細かい網の上に乗せられた肉が

小気味の良い音を発て、

肉から垂れた油が熱源に当たり、

煙と共に食欲をそそる芳香を放つ


「なる程、ただ単に味を楽しむだけでは無く、

肉を焼く際に出る音や香りも楽しむ訳じゃな」

「はい、博士、一般的な飲食店では、

厨房が見えなくなっている所が多いので、

新鮮に感じる人は多いでしょうね」

「俺も、この研究所に来て、

ビーサンさんの調理を手伝う様になるまでは、

調理の過程なんて見る事が無かったからね」

テーブルの上に置かれた魔導具焼き台で焼かれる

初ヤキニクを眺めながら、

マックス博士を始めとする研究所の面々も、

興味津々の表情を浮かべながら眺めている


「ええ、そうですね、

今夜は良い肉を使っているので、

肉の油そのものの香りを楽しんで頂いていますが、

タレに浸けこんだ肉を焼く時の香りもサイコーですよ」

「アタイは、どっちかってぇと内臓系をタレ焼きにする

時の匂いが好きっすね」

博士らの言葉に、金属製のトングを手に持ち

次々と網の上に、肉や野菜を乗せて行っている

コインとサナエが返事を返す。


「さあさあ、肉は薄切りにしてあるから、

そろそろ始めに乗せた方は食べられるよ、

私らは偶に食べてるんで、

初めてのアンタらから食べておくれよ、

タレは甘口と辛口があるから、

お好みで選んで付けて食べとくれ」

「私が見本を見せる」

『ちょっと~、私も初めてなんだから、

さり気無さを装って皿に盛って食べさせなさいよ~!

ちなみに、タレは甘口でね!』

コインらと同じく、トングを持ちながら、

良い感じに焼けて来ている網の上の肉を

ひっくり返しながら、ポラリが告げる、

パサラは見本と称して一早く肉へと箸を伸ばし、

ショウは、ダミーとしてコインの前に置かれている皿へ

焼き上がった肉とタレを入れる様に、

ポラリへと指示していた。


「うむ、では頂くとするかな、

しかし、その・・・トングとか言ったか?

その道具は、なかなかに機能性を追求した良いフォルムじゃな」

「はい、博士、私も初めて見る形の調理器具ですが、

焼き物をする際に、重宝しそうな器具ですよね」

「うんめ~!博士!ビーサンさん!

この、ヤキニク用のタレとかいうの、

まさに、魔法の調味料ですよ!

俺の今までの肉料理の概念を、全て覆す程の衝撃の味です!」

博士とビーサンが、

調理器具としてのトングの有用性に関心を示す中、

いち早く、フォークで刺した肉を、

皿の上に注いだタレへと付けて、口に運んだシーサンが、

驚愕の表情を浮かべながら称賛の声を上げた。


「ハハハ、シーサンも気に入った様だね、

そろそろ野菜にも火が通って来たから、

そっちも試してみなよ、

それから、爺さん達も、

さっさと食べてくれないと肉が焦げ付いちまうよ」

さりげなく、甘口のタレが注がれたショウの皿へと

トングでヒョイヒョイと肉を何切れか入れながら、

ポラリが告げる


「おお、そうじゃな、

観察の方は後回しにして、

ワシらも御馳走になるとするかな・・・うおっ!これは・・・

確かに、シーサンが騒ぎ立てるのも納得の味じゃな、

最近は、肉よりも魚の方が口に合う様になって来ておったが、

このタレなら、このワシでも、

幾らでも肉が食えそうな気がするわい」

「おっ!?・・・確かに美味い・・・

高級な料理かと問われれば少し違う様な気がしますが、

肉を美味しく食べる為の手段としては、

かなりの上位と考えられる代物ですな・・・」


「ハハハ、ビーサンさん、

焼肉は、そんなに堅苦しく食べる物じゃ無くて、

皆で、ワイワイと楽しみながら食べるものですよ」

「兎に角、何も考えずに、

無心で肉の味を楽しむのがヤキニクっすよね!」

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