再会
「ホッホッホッ、先程は迷惑を掛けたな、
旅の者たちよ」
研究所の助手であるシーサンが、
夕飯の下準備が整ったと、
リビングスペースで寛いでいたコインらを呼びに来たので、
皆で連れだって食堂へと行くと、
回復を果たしたらしいマックス博士も食堂に居た。
「爺さん、もう大丈夫なのかい?
見た感じ、もういい年なんだから、
あんまり無茶をして、周りの人達に心配を掛けるもんじゃ無いよ?」
「無事の生還を祝す。」
「マックス博士、もう、お体で何処か痛む様なところは、
御座いませんんか?
どちらか、まだ痛む様でしたら、
ファーにお願いして治癒魔法を使って貰いますが・・・」
『キュッ!』
「見た感じはピンピンしてそうっすけどね」
「お若いの、ワシはまだ、そうそう老け込む年では無いぞ!
それから、体調の方は万全な状態になったから大丈夫じゃ、
お主らが治療を施してくれたと助手らから聞いた。感謝するぞい!」
「治療をしたのは、あの、コインの従魔ファーだから、
感謝は、あの子にしてくれれば良いよ」
「ゴミ片付けは私」
「無事に良くなられた様で良かったよな、ファー」
『キュッ!』
「ファーの治癒魔法は良く効くっすからね、
アタイらのパーティーの宝っすね!」
『ねぇねぇ、前置きは如何でも良いから、
早くヤキニクを食べさせなさいよ!』
その時、博士や助手らには姿が見えなく、
その声も、コインらパーティーメンバー限定でしか、
聞こえない状態へとなっている、
女神の眷属ショウが催促の言葉を投げて来た。
「は、はい!畏まり・・・ビーサンさん!
そろそろ、ヤキニクを焼く準備を始めても構わないかい?」
反射的に、博士らには聞こえ無い状態へとなっている
ショウの言葉に返事を返しそうになり、
途中で、その間違いに気が付いたポラリが、
料理の下準備をしていたビーサンに、そう尋ねる
「ええ、お聞きしていた通りに、
お肉や野菜のカットの方は済んで厨房に置いてありますから、
焼き台の準備さえして頂ければ始められますよ」
「そうかい、ありがとう手間を掛けたね、
それじゃ、コイン、サナエ、魔導バッグの中から、
ヤキニク用の焼き台を・・・そうだね、この人数なら2台で良いか、
2台取り出して、テーブルの上にセッティングしてから、
火を点けてくれるかい?
それから、大丈夫だとは思うけど、
一応、焼き台の下には耐火布を敷いといた方が良いかね」
「はい、分かりました。ポラリさん」
「了解っす!姉さん」
ポラリの指示に従い、
コインとサナエは、魔導バッグから焼き台と耐火布を
其々で取り出すと、テーブルの上に据え付け点火した。
「ウチの焼き台は魔導具なんで、直ぐに火の方は温まるから、
食材の方を持って来て貰えるかい?」
「ええ、分かりました。
今、御持ちしますね、
おい、シーサン、手伝ってくれよ」
「オッケー!」
ポラリの言葉を受けたビーサンが、
同僚のシーサンを伴って厨房へと向かった。
「今日は、ルクシアで評判の『ヤキニク』なる料理を、
御馳走頂けるとの事じゃな、
ワシは、未知なる物との出会いが大好物じゃから、
喜びを込めて、お前さんらに感謝をするぞい!」
「ああ、今日は私らも一緒に楽しませて貰うよ」
「感謝するが良い」
「新しい物好きって言うのが、
如何にも研究者らしいですよね」
「ヤキニクの美味しさに驚愕すると思うっすよ」